帰国日。朝食後、荷造りをしながらホテルでだらだらと過ごす。13:00に手配しておいたtransferに乗り、10分ほどで空港へ。小さいが真新しい空港で分かり易い。タリン→ヘルシンキのAY108とヘルシンキ→東京のAY073にチェックイン。14:15にboardingが始まり、14:40に離陸。
わずか30分ほどのフライトで、16:10(時計が1時間進む)にヘルシンキ空港に着陸。日本人の団体客がたくさんいて大騒ぎを展開している。みっともないことこの上ない。なるべく離れて16:40からのboardingを待つがなかなか始まらない。17:20にようやく始まり乗り込む。今回も壁際の席で足が伸ばせるのが有り難い。しかし、台風の影響で出発が遅れることとなり再度空港に戻された。出発予定時刻は20:30とのことで、さらに3時間ほど待たされる羽目になる。航空会社から55FIM相当のクーポンをもらったのでサンドイッチなどを買い、商店街をぶらぶらするが特に買いたいものもない。隣に座っていたハンガリー人のおばあさんといろいろ話して過ごす。
20:00に再度boardingがあり、20:45に離陸。結局、定刻より約3時間遅れの12:20(08/22/01)に成田着。
これで、かねての念願だったバルトの国々の旅も終わりである。いずれの国でも、ソヴィエトの一部だったという印象はもはやほとんどなく、旅行中もトラブルらしいトラブルもなく順調だった。
バルト三国と一括りにしてしまうことが多いが、実際には各国とも違っていたようだ。エストニアは最も速いペースで西欧化を進め、反対にリトアニアは少々立ち後れているような印象を受けた。ラトヴィアはその中間といったところだろうか。また、唯一カトリックを信仰する人が多いリトアニアでは、宗教の復権が特に目立ったように思った。
今回はそれぞれの首都の、それも旧市街だけを駆け足で観て周った。タリンとリーガは典型的なドイツ風の街並みで、ヴィリニュスは柔らかい印象を与える中欧の街並みという趣だった。もちろんその風趣も十分に魅力的なのだが、何よりも鮮烈な印象を残したのは"Riga800"で味わった歌と踊りである。数百年もの長きに渡り他民族の支配を受け続けてきた彼らが、それでも民族のアイデンティティを残すことが出来たのは、歌や踊りの力があったからに他ならない。これらを味わうことなくしてバルトの国々の魅力は分からない、と断言してもよいだろう。バルトの国々の最大の魅力は『歌と踊りの祭典』にあるのではないだろうか。
ソヴィエトの支配から独立した各国は、いま西欧化を目指している。資本主義の導入による変化は、特にタリンで顕著なようだ。力による支配に屈しなかった彼らの民族アイデンティティが、資本主義を迎えてどのような方向に進むのか、注目である。資本主義によって彼らの民族アイデンティティは変容するのかもしれない。それはとても寂しいことではあるが、やっと自由と独立を得た彼らの選択であるならば、それはそれでいいと思う。
いつの日か、彼らの(特にラトヴィアの)『歌と踊りの祭典』を直に味わいたいものだ。