Santorini

 夜間に何度か目が覚めたが、起床することを頑なに拒否し意図的にぐだぐだを続け、8時にようやく起床。身支度を整えて、9時の朝食を待つ。このホテルの朝食は、部屋の外(玄関わきに小さなテーブルと椅子があり、ベランダの体となっている)で摂ることになっている。0915に朝食が運ばれてきた。パン数種、ハムとチーズ、トマトとオリーブのサラダにチーズ、パイにスイーツ、ヨーグルトにオレンジジュース、ゆで卵、コーヒーと、朝食にしては多過ぎるほど。味も好いのだが、悔しいことに食べきれない。これなら、朝と昼に食事をしっかり摂って、夕食は摂らないくらいでいいかもしれない。


 10時に外出、イアの街へ向かう。今日は、バスターミナルへ向かう道とは異なる道を取ってみる。予想通り、イアの裏道に入り、曲がりくねった道を行く。店やレストランもあるが、メインストリートとは比べ物にならぬ静かさが好い。途中で、今日の昼食を摂ろうと考えていたレストランも見つけた。ちょうど時計塔のある建物の脇道からメインストリートに入ることが出来た。目印にもちょうどよい。
 まずはメインストリートを隣町の方面へ向かって歩いてみる。まだ午前中で人通りもさほど多くはないが、こちらも洒落た店やレストランが軒を連ねる。ところどころ海に向かって小道があるが、これらの多くは”Private"とあり入ることが出来ない。つまり、崖に面した高級リゾートへの道である。階段を下り、曲がった先に扉があったりすると、その先への想像力が掻き立てられる。いちいちデザインがよろしい街である。
 メインストリートは、比較的に大きな教会のあるところで道路と合流した。さて、この道路が既に渋滞となっており、クラクションが喧しい。これをみて、明日バスでフィラの街に行ってみる気が失せてしまった…
 メインストリートを戻る。本当に、何処もかしこも絵になる街だ。崖に面したリゾートも、棚田のようにベランダやプールを設えてあり、無秩序なようで絶妙な調和を見せる風景である。イアで実際に目にして、こういう風景を、どうやら考えていた以上に好きだった、ということに今さらながら気づかされた。ただ、紫外線も強烈で、目の保護のために常にサングラスをかけている。時々は意識してサングラスを外し、本当の色合いを見るように心がけねば。
 建物の白だけでなく、海の青も本当に美しい。近くにもいくつかの島があるらしく、風景にアクセントを与えている。大小の船ものんびりと行き交っている。


 メインストリートの反対側の端まで着いた。ここから右手の道をさらに行く。風車が目立つのだが、どうやら観光用に設えたもののように思われた。
 メインストリートに三度戻った。昼近くとなり、人出も増えてきた。ここからは、Privateでない小道を行き、斜面を下ってみることにする。急峻な斜面なので、登りも降りも意外にきつい。多少TPOにはそぐわないが、ちゃんとしたスニーカーで好かった。斜面を下ることで見られる光景は、その苦労に十分に見合うものであった。(もっとも、この風景にさほど思い入れがなければ、どれも同じに見えるかもしれないが…)多くの人がビーチサンダルを履いているが、イアは意外に起伏があり、歩きづらいようにも思われるのだが…
 13時近くになり、教会の近くの日陰に座って一休み。そろそろ昼食を食べられるだろう。というわけで、TripAdvisorで目をつけていて、朝に見つけたレストラン"Roka"へ。裏通りにあり、安いがとても美味しい料理を提供するらしい。仔牛肉を使ったクリームパスタを注文。味付けがしっかりとしてとても美味しい。パン2つも無料でつけてくれる親切もとても嬉しい。コーラをつけてEUR20.40は良心的といえる。昨年コヴァラム・ビーチで見つけた"Suprabahatham"のような店だ。イアを離れる前にまた訪れたい。


 14時にいったんホテルに戻る。日差しの強い午後は、街歩きではなくホテルのプールサイドで暖かく微睡んでみよう、というわけだ。ちょうどパラソルが日差しを隠してくれるベンチを確保し、まずはプールに入ってみる。水がひんやりとして心地好い。そういえばプールに入ったのは何年ぶりだろうか? 海水浴は4年前にテルアビブのビーチでやったが… プールから上がってベンチで微睡む。暖かい空気がとても心地好い。これは正解だった。今年の夏は、これを心ゆくまでやりたかったのだ。
 ただ、時が過ぎるにつれ太陽も移動し、気が付けば足が陽射しに曝されていていた。日焼けしなければいいのだけど… 17時にいったん部屋に戻り、ベッドで横になった。


 さて、今日もサンセットを見たいところだが、イアの人気スポットの混雑は昨日で懲りた。(転落の危険も有り得る) ホテルの敷地からのサンセットも好さそうなので、今日はホテルから見ることにした。その前に、夕陽に照らされるイアの街並みと水の調達のために、日焼け止めを塗り直して18:30にいったん外出。イアのメインストリートの人出は凄いことになっているが、何よりも驚かされるのは、中国人観光客の多さである。中国語が絶え間なく耳に入ってくる。確かに、イアの街には中国人観光客が多く訪れるようで、昼も何度も見かけたし、中国語の看板を出している店も多いのだが、ここまで多いとは思わなかった。フィラなど他の街に泊まっている人達がサンセットを見るためにバスで乗り付けているのかもしれない。
 昨日サンセットを見た要塞跡は昨日以上の大混雑で、早々に離れ、バスターミナルのスーパーで水を調達して19:45にホテルに戻った。小さいほうのプールサイドにちょうど椅子があり、ここから眺めるのが好さそうだ。穏やかな海面、荒れ地、遠くに小さく見える教会、傾いた電柱のコントラストもなかなか。ハイセンスなデザインのプールと対比させるのも好い。
 ホテルのスタッフがテーブルのセッティングにやってきた。(夜はレストランとしても使われるらしい) 『いつか、数年ほど東京に住んでみたい』のだそうな。やはりアニメやキャラクターの日本への好感度に与えている影響力は絶大である。
 日没が近づくにつれ、昼間はあれほど強烈な陽射しを降り注いでいた太陽の輝きが急に弱まり、オレンジ色の見事な円形となった。何となく感傷的な光景ではある。いいサンセットを見ることが出来た。


 今回の旅では、『憧れていた光景』をイアで楽しみ、『暖かく微睡む楽しみ』をホテルで得ることを目指していたが、どうやら上手くいきそうだ。明日以降も、午前から昼過ぎまでイアを歩き、午後はホテルのプールサイドで微睡むことにしよう。


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