Prologue

 旅行の初っ端からトラブルの連続だった(--;)


 まず、搭乗予定だったSU582が機材到着の遅れだとかで大幅に遅れるため、11:30発のSU578に変更になった。SU582はモスクワ経由ロンドン行きなのだが、SU578はモスクワどまりなので、ロンドンに行く乗客がえらく困っていたが、私には関係ない(^^;) それはともかく、SU578の出発も12:30だったのだが…


 飛行機は

A-310
で、期待のイリューシンではなかった。アエロフロートではA-310各機に作曲家の名前をつけており、この機体の名前はボロディンだった。サービスはまあまあ。ただ、冷房が効きすぎてて寒かった。


 モスクワ時間の17:00にシェレメチェヴォII空港(Шереметьево II)に到着。入国審査のカウンターが大混雑で、通過までに約1時間かかった。通過すると、預けていた荷物が床の上に放り出されていた。それを受け取って税関へ行くと、書類も見ずに行けという。先ほどの入国審査で何やらロシア語でまくしたてられたのとは対照的である。
 それを抜けると

ロビー
である。突如として怪しげなロシア人が声をかけてきた。いわゆる白タクである。ロシアではタクシーの公認制度が事実上崩壊しているらしく、とんでもない値段をふっかけられることになる。それにしても、ロビーにいるほとんどが白タクで、"my friend!"なんて声をかけてくるので笑える。20人くらいに声をかけられたろうか…
 市内に行く前に空港でルーブルに両替しようと思っていたのだが、何とここの銀行ではルーブルへの交換を扱っていないとか。自国の通貨だろうが!(--;) やむを得ず、インツーリストのカウンターへ行って、予め頼んでおいたトランスファーでホテルへ行くことにする。おばさんが何やら伝票のようなものを書いて、ここで待てというので待っていると、白タクとあまり変わらないようなのが来て乗れというので乗った。この時点で、到着してから1時間30分経っていた。


 約40分でモスクワ市内に入った。19時を過ぎてもまだ日が沈まず明るい。さっさとチェックインしてクレムリンでも行こうかと考えていたのだが、甘かった(^^;) どういうわけか運転手がホテル・ロシアというところにつけたので理由を聞いてみると、さっきおばさんが書いてくれた伝票にはホテル・ロシア行きとなっていたのだ。私が予約したのはイズマイロヴォ(Измайлово)というホテルなので、バウチャーを見せて「そっちに行け」と言うと、ぶつぶつ言いながら20時にはイズマイロヴォにつけてくれた。ところが!


 イズマイロヴォのインツーリスト・カウンターに行くと、「これは手違いで、あなたのホテルはロシアだ。ここから地下鉄でロシアに行ってくれ」と言われた。コンピューターのミスで、イズマイロヴォで提供していないサービスだったにも関わらずイズマイロヴォを登録してしまったのだとか。大丈夫か、ロシアのコンピューターシステム? 泊めろと言っても埒があかないので諦めてロシアに行くことにし、まず地下鉄のジェトン(コイン式の入場券)を買うためにルーブルを作ろうと銀行に行くと、ここでもルーブルへの両替はしないという。このままでは地下鉄に乗れない!と思い、インツーリストに事情を話して3ルーブル貸してもらって、近くの(といっても分かりづらくて見つけるのに30分くらいかかったが)イズマイロフスキー・パーク駅(Измайловский парк)から地下鉄に乗った。これがだいたい20時30分。空港のおばさんがちゃんと説明してくれれば…


 モスクワの地下鉄は、確かに駅の装飾は立派だが、全体的にぼろい。列車も前近代的でちょっと怖い。しかも、駅名・路線図・乗り換え表示、全てロシア語のみで英語表記がないので、読むのに一苦労だ。イズマイロフスキー・パークからロシアの最寄り駅であるキタイ・ゴロド(Κитай-Город)まで2回の乗り換えがあり、その都度迷った。この頃になると結構焦っていて、駅の装飾の写真を撮る余裕もない。余談だが、

エスカレーター
がとてつもなく長く、しかも日本の2倍くらいの速度で動くのでけっこうスリリング。


 やっとの思いでキタイ・ゴロドに辿り着くと、今度はどの出口で出ればいいのか分からない(近辺の地図がないのか、あっても見つからなかった)。とりあえず出てみて、確かクレムリンの近所だと思いつつクレムリンを目指して歩き、途中の警官に道を尋ねながら(ロシア語でまくしたててくるので、身振り手振り)、どうにかホテル・ロシア(Россия)に到着した。
 まずインツーリストに行くと、今度はちゃんと泊れると言う(^^)←既に、当然の事に喜ぶようになっている(^^;) レセプションでチェックインするように言われたので歩いていくと、とんでもなく大きいホテルであることがだんだん分かってきた。レセプションでは、登録のためにパスポートとビザを預けろという。「明日には返す」というので「明日のいつ?」と聞くと「さあ…」 もう驚かなくなっている。10階の199号室ということなのだが、鍵はレセプションではもらえず、各階の鍵担当のような人からもらうらしい。しかし、10階を行けども行けども鍵担当に会えない! どうやら、普通のビル4棟分はあるらしい。後でガイドブックを読んだら、このホテルの巨大さはアネクドートにもなってるのだとか。ま、最後には会えて、自分の部屋に入れたので、良しとしよう。これで21時30分。


 

部屋
はそこそこの広さだが、冷蔵庫は空だしテレビもつかない。
窓の外
には、ねぎ坊主のような飾りのついた教会らしき建物が見える。赤の広場に面していて、聖ワシリー聖堂のすぐ裏手にあたり、ロケーションはとても良い。
 電話が日本と同じMJ形式なので試してみると、外線発信番号で"9"を足せば通信できる。モスクワにいる間はメールを使えそうだ(^^) この後、1階の両替所で$60を810ルーブルに替え(この時も何か伝票をくれた。この国はほんとに伝票が好きらしい)、10階の売店で晩飯代わりにサンドイッチ・スプライト・水を45ルーブルで買った。


 それにしても、いきなり侮れないところを見せつけられてしまった。ここで生きていくのは甘くないようだ。今日は、生きてるだけで丸儲けといった感である。


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