Москва

 曇り時々晴れ、気温約10度。モスクワ滞在最後の日である。まず、ホテルをチェックアウトし、クロークに荷物を預けて外出する。


 まずは、郊外にあるコローメンスコエ(Коломенское)に行った。ここは、17~18世紀のロシアの建築を集めてある自然保護公園で、まあ明治村のようなものだろうか。地下鉄のコローメンスコエ駅から徒歩で約10分ほどである。
 とてもよく整備された公園で、

白樺の林
がロシア的風景を演出してくれる。落ち着ける公園だ。
17世紀の宮殿の裏門
を通って、中に入る。なるほど、教会や以前の宮殿の建物、はては宮殿の庭までが一同に保存されている。多少無節操な気もするが、ロシアの雰囲気を十分に伝えてくれる。特に気に入ったのは、
宮殿の表門
ヴァズネセニエ教会
、そして
ピョートル大帝の小屋
。ここは12Pで中に入ることができ、
再現された当時の様子
を見ることが出来る。また、公園からは
モスクワ川沿いのモスクワの街
を一望できる。
 散策にもちょうどよい、落ち着いたいい公園だった。


 何とかモスクワで1回くらいまともなものを食べたいと思い、キエフスカヤ駅に行き、そこから歩いてウクライナ・ホテルに行った。ここもまたスターリン様式の建築でうんざりなのだが、中のレストランはまあまあらしい。まず、ザクースカ(前菜)としてウクライナ風ベーコン。しっとりと脂が乗っていて生っぽく、イカや貝類に似た歯ごたえがある。どこがベーコンなのか。味は形容し難い。何の肉だろう。ソースがとても辛く、これをつけると鯉の洗いに似た味と言えなくもない。メインにはストロガノフ。日本で食べるものとほとんど同じ味だ。デザートにはバナナ添えマロージェノエ。美味しいんだけど3つも要らないし、クリームをごてごて乗せないで欲しかった。これで値段は534.4P(約$33.4)! 要するに、モスクワの食事は東京よりも高くて不味いのだ。


 最後に、マネージ広場の地下にある

ショッピングセンター
に行ってみる。一昨年にオープンした新しいセンターだ。欧米の一流ブランドが軒を連ね、欧米のそれと比べても遜色ない。違いといえば、各店に最低1人は警備員がいることだろうか。それほど、治安に気を遣っているのだ。ここを歩く人々は皆着飾っており、経済危機など無縁のようだ。これもロシアの一つの顔なのだろう。


 16:30に運転手と待ち合わせ、空港へ向かう。この人は英語を使えたので少し話をしてみた。「俺はロシアの将来を悲観してるよ」というので、「日本だって金融危機だよ」と返したら、「日本は既に金持ちだからな。俺の月給なんか100ドルだ」と言われてしまった。また、何気なくサンクトペテルブルクについて尋ねたら、「お前はペテルブルクに行くのか? じゃ、シェレメチェヴォIに行かなきゃ」とか言い出した。どうやら、インツーリストの伝票にはシェレメチェヴォIIと書いてあったらしい。こんなことでトラブルを防げてほっとする。しかし、ホテルの一件もあったので、不安がよぎる。通常、ロシアの国内線はIで離発着するのだが、もしかして…


 空港に着き、まずインフォメーションでSU731便がIから出るのかどうか尋ねる。よかった、どうやらIかららしい。荷物検査を受けて空港に入る。この時点で17:30で、SU731の出発が20:15だから、時間を持て余す。まあ、遅れるよりずっとましだが。
 

空港
は小さく、日本の地方空港以下ではないだろうか。しかし雑然としている。インツーリストもないようだ。離れたところにシェレメチェヴォIIが見える。日本では別の空港のように思っていたが、どうやらターミナルが別なだけのようだ。
 18:50過ぎにチェックインが始まり、さっさと済ませる。そして19:30過ぎにボーディングが始まり、バスで飛行機に向かう。そこにあったのはツポレフTu-154! ついにロシア製の航空機に乗ることになった。中は狭いし、棚には蓋がない。通路側だと、物が落ちてきたときに頭を直撃すること請け合いだ。もっとも、どういうわけかこの便は無料だったので、あまり文句を言えた義理ではない。
 20:15に離陸。離陸は滑らかで、安心する。モスクワの夜景がとても綺麗だ。ダスビダーニャ、モスクワ!とか心の中で言ってみた。フライトも、ややバンクがきついものの、快適だった。
 21:30にサンクトペテルブルクに到着。空港のビルにСанкт-Петербургと書いてあるのを見て安心。変な便に乗っていたかもという心配が頭を離れなかったのだ。ターミナルに着くと、インツーリストの目印を持ったおっさんがいたので話し掛けてみると、確かに手配したトランスファーだった。荷物を受け取り、空港を後にする。


 ところがこの運転手(さっきの人とは違うおばさんだった)、何か妙に曲がりくねって走る。普通、街から空港までは大通りが走っているものじゃないのか? おかげで、サンクトペテルブルクの郊外の夜景を堪能してしまった。土地も道幅も広く、碁盤の目のようになっているので、マウンテンビューを思い出した。ただ一つ違うのは、一軒家が存在しないこと。必ず団地になっており、その意味では千葉的な風景とも言えなくもない。


 22:30にホテル・モスクワ(Москва)に到着。バウチャーのコピーを見せ、5097号室の鍵(カードキー)をもらって

部屋
に入る。あら、ツインだ。テレビは映るのだが、肝心の電話の事情がよくない。備え付けの電話機にはデータ端末用MJがあるのだが、かけようとしても外にかからないのだ。困った。それに、電源が足りないので、照明を1つ抜いてコンセントを空ける。
 今日は疲れた。面倒なことは全て明日だ。
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