Praha

 明日に備えて、早く起きてプラハ本駅への道順とホームなどの構造を確かめる。乗り換えも含めて約30分で本駅に到着できた。時刻表の見方も含め、おおよその感覚を掴むことは出来た。ホテルに戻って朝食を摂るのも面倒なので、そのまま駅のカフェでカプチーノを飲み朝食とする。
 昨日で観光名所と呼べるところはだいたい行ってしまったので、今日は無目的にさ迷うことにする。まずは旧市街広場へ行き、中欧最古の大学である

カロリヌム
(Karolinum)と、モーツァルトが『ドン・ジョヴァンニ』を初演したという
スタヴォフスケー劇場
(Stavovske Divadlo)を観た後、カレル通り→カレル橋というお約束になったが、すっかり気に入ってしまったのだ。そこから、登山電車に乗って丘を登り、丘の上の公園で少し昼寝する。(あまりに気持ちよかったので^^;)その後、22番のトラムでI.P.Pavolova駅に行き、C線でVysehrad駅へ行く。ここにはヴィシュフラド(Vysehrad)という、昔の城跡がある。
 Vysehrad駅を降りると、いきなり
どっかで観たような威圧的な建物
がある。そう、ここまではかけらもなかった社会主義的風景がいきなり目の前に姿を現したのである。といっても、この周りはまた欧風の建物が続くが。ヴィシュフラド自体は普通の城址公園といった趣で、疲れていることもあり早めに切り上げた。
 ここからいったん共和国広場まで戻って、市民会館のカフェで昼食とする。肉料理を頼んでみたら、ハムにサラミとオードブルのようなものが出てきてしまった。味は悪くないが。ドーナツにコーラを頼んで250Kcだからまぁまぁか。


 その後は、ひたすらお土産になりそうなものの物色。意外に社会主義の残骸のようなものがない。ロシア語も全然耳にしないし、ルーブルなんか見たこともないし、ソヴィエトマークも全然ない。その代わりに、英語やドイツ語が氾濫し、各国通貨の両替商が乱立し、人々はおしゃれして自由を謳歌している(ように見える)。そういえば、値段もコルナで表記され、取引もコルナで出来る。コルナが『使える』通貨になっているのだ。本当に、つい10年前まで共産党政権だったのだろうか、疑わしくなってくる。あるいは、社会主義など、プラハの神秘の前には何ほどもなかったということだろうか?
 ただし、地下鉄については、ぼろい電車に素早く動く長いエスカレーターなどが、どっかで味わった懐かしい感覚である。ただし、駅自体に装飾はされていないし(掃除はされていてきれいだが)、車輌には落書きが多いが。
 チェコ語はスラブ語に属しているらしく、響きはロシア語に似ているのだが、使っている文字はラテン文字である。ただし、文字にいろいろなマークが付与されていて、これで発音が変わるらしい。一度、間違えてロシア語で挨拶してしまい、嫌な顔をされたのが印象的だった。
 そんなこんなで18時になり、ガイドブックで観て美味しそうだと思っていたU Zlate Studnyに入り、クネドリーキ(チェコ風蒸パン)と兎肉のロースト・チェコ風を注文する。兎肉は骨付きローストで、鶏肉のような味わいである。かけまわしてあるソースには微妙な酸味が利いていて美味しい。クネドリーキにも微妙な酸味があるが、これをソースにつけて食べると不思議に酸味が消えてソースの味を楽しめる。消化にもよさそうで、いささかももたれない。チェコ料理というのも悪くなさそうだ。値段も420Kcと手頃で、いいレストランだった。
 夜の街角の名残を惜しむ。昼は重厚で伝統的、もしくは華やかな街が、夜になると一変して妖しい神秘的な顔を見せる。いくつもの顔を持つ、神秘という言葉が良く似合う街だ。この街の魅力は、とても私などでは言葉に出来ない。
 ホテルに帰ってから荷造りを進め、明日の準備をする。絶対に寝過ごせないので、早く寝ます。


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