Moscow - The Golden Ring in Russia Moscow

 目論見どおり、05:40に起床。昨夜のうちにほぼ荷造りを終えてあるので、身支度を進める。駅でピロシキなどを買えるだろうが、朝から油物を食べたくはない(そもそも、日常では朝食を摂らない)ので、日本から持参したカロリーメイトをバックパックに入れておく。06:30に部屋を出る。予想通り、誰も居ない。建物の扉を部屋の鍵で開けて、…これまでは気にも留めなかったが、通りへ出る門扉に鍵がかけられていているではないか! 万が一を考え、まだ建物の扉を閉めておらず、部屋の鍵を手元に残しておいたことが役に立った。この鍵で門扉を開け、バックパックで押さえて、部屋の鍵を玄関に置き、建物の扉を押さえておいた旅行カバンを取り、バックパックを背負って外へ出た。やれやれ、本当に最後まで油断できない宿だった。もし、建物の扉や門扉の件を思いつかず、部屋の鍵を残したまま建物を出ていたら、門扉を開けられずthe endだった。奇妙な達成感を胸に駅へ向かう。夜が明けたばかりで、吐く息が白い。
 駅へ向かう下りの階段と坂は荷物を持つ身にはつらい。06:50に

へ。
掲示
を見ると、私が乗る予定の07:25発モスクワ行き815番も出ているが、プラットフォームは掲示されていない。07:00を過ぎても掲示されないので、自動改札の横に立っている名札をつけたおっさんに訊いてみると1番とのこと。いったんトイレに行っておく。ここのトイレも地下で、無機質ながらんとした空間がちょっと怖い。
 戻ってみると人が改札内に入り始めている。自動改札を通れる切符ではないので、改札の横におばさんが立ち、一人ずつ切符をチェックして改札を開けているのだ。中途半端なシステムがまたロシアらしくて好い。
1番線
には既に列車が入っている。7号車の19番の席に座る。これで一安心。定刻の07:25に出発。さらばウラジーミル。


 1時間30分ほど眠ったところで、トイレに行きたくなり目が覚めた。しかし、この列車にトイレがあるのか分からない。食堂車に行っておばさんに訊いてみるが『ない』とのこと。あと1時間弱だから我慢するしかない。到着予定の09:55近くになり列車が減速。何もこんな時に遅れなくとも好いのに。10:10にモスクワ・クールスク駅に到着。ウラジーミルに向かうときに入った駅舎には入れず、左手の改札から外に出る。と、ここも自動改札で、おばさんが律儀に一人ずつ改札を開けて通している。こういう状況では『ロシアらしい』などといってはおれない。改札を出た正面にトイレがあった。やれやれ助かった。
 改めて、無事にモスクワに戻れたことを実感する。気温の表示は17℃、日なたは暑いくらいだが、日陰は風がひんやりとしていて、服装の選択が難しい。さて、次は今夜の宿泊先に向かう。多分、時間が早くてチェックインできないので、旅行カバンを預けて午後を観光に充てる考えだ。クールスク駅から3号線でスモレンスカヤ駅へ。ここのエスカレーターはかなり長いが、私の前に立ったカップルは昇っている間中(ちなみに約2分)キスをしていた。20年ほどシベリア逝って自己批判しやがれ。この近くに、本日の宿泊先である"Hotel Belgrad"がある。フロントスタッフは流暢な英語を話すので一安心。予想通り、まだチェックインできないので、フロント横のSafetyに荷物を預ける。50P也。改めて外出。
 ここで、先日買った地下鉄の回数券が切れたので、スモレンスカヤ駅で改めて5回券を買い、プロシャーチ・レボリューツィ駅へ。例によってマネージ広場地下ショッピングセンターのブリヌイ店で昼食。今回は挽肉とマッシュルーム入り(…またか、といわないやうに。本当に美味いのです。)のブリヌイにペプシ(大)をつけて計135P也。


 アホートヌィ・リャト駅から1号線でチストゥイェ・プルディ駅へ向かい、ツルゲーネフスカヤ駅から6号線でヴェー・デー・エヌ・ハー駅へ向かう。ここには、ソヴィエト時代に社会主義体制の優位性を示す数々のパビリオンがあり、『ヴェー・デー・エヌ・ハー』という(何となく萌える無機質な響きの)駅名はその略称らしい。しかし、今となっては駅前は例外なく大音量の音楽を流すCD屋やファッションショップに占拠されている。
 駅の近くにロケットのモニュメントが聳えている。(

) ばびゅーんという感じで天空の高みを目指す姿は夢があってなかなか好い。モニュメントの下部はソヴィエト体制の宇宙開発を讃えるレリーフとなっている。この下部は、宇宙開発に関する博物館となっている。これこそ、今回のモスクワ観光で是非観たかったものの一つ。30Pを支払って中へ。
 内部には、ソヴィエト時代の宇宙開発に関するものがたくさん。(
) ソユーズとアポロの協力計画に関する展示が中心らしく、アメリカとの協力を示す国旗やワッペンなどがいくつもある。以前、スミソニアンで同様の展示を見たことがあるが、そちらは当然ながらアメリカ中心だった。今回はソヴィエト中心なのが嬉しい。
ポスター
なども展示されていて、ソヴィエトの黄金時代を実感させる。写真を撮っていると、係員のおばさんに『撮影料を払え』と注意された。40Pを支払う。堂々と撮影をする。(ただし、フラッシュを焚かないのが礼儀である。)
 さらに中へ入ると、人工衛星やら宇宙服やら帰還船やらが所狭し。(
) スミソニアンほどの規模ではないにせよ素晴らしい内容。解説がロシア語のみなのが残念だが、これらハードウェアを観ているだけで感動する。ただ、照明が薄暗く、上手く写真を取れない。それにしても、正面にある宇宙服を来たグリコみたいな
は何を意味するのだろう? その像の後ろには上映室があり、スライドショウを見ながら何やらロシア語で解説。さっぱり分からんが面白かった。
 さて、ここのお土産コーナーで宇宙食を売っているという噂を聞いていたのだが、行ってみると残念ながら置いていなかった。その代わり、宇宙で使えるマッチと記念Tシャツを買った。計270P也。ここを観ると、まだまだソヴィエトは死んでいない、という気になるのではあるまいか。


 道路を渡ると、引き続き両側にCD店だの携帯電話ショップだの。何だか浅草の仲見世のようである。CDの値段は100P, それはともかくとして、MP3 CDなどという物も売っている。これを過ぎると、何やら偉そうな

が聳えている。これこそ、全ロシア展示センターの正門である。門のてっぺんをはじめ、あちこちに労働と社会主義体制を讃える像が設置されている。もちろん、ソヴィエトのシンボルである鎌とハンマーも。なぜかわくわくする。そこを潜ると、広い公園になっており、正面にはまたも何とも偉そうな
建物
。これが中央パビリオンらしい。モチーフは先ほどと同じ。建物の正面には
レーニン像
。しかし、公園の中の誰も注意を払っておらず、ローラーブレードで疾走したり談笑したりいちゃついたり。同志、かつて世界を二分した誇りは何処に行ったのだ? まぁ、変に気合を入れて演説なんぞおっぱじめるよりはこの方が平和でよほどいいけど。この建物の後ろには、金色のモニュメントが眩しい
『民族友好の泉』
がある。かつてソヴィエト連邦を構成した15の共和国の女性がそれぞれの民族衣装を着た像だそうな。実態はともかく、理想としては素晴らしい。これで思い出したのだが、正門の周囲に翻っていた旗は、かつてのソヴィエト連邦の15の共和国の国旗であろう。いつの日か、この15の国全てを訪れることが夢だったが、最近は年齢もあり諦めかけていた。これを観ると、やはりやってみたくなる。"I have a dream"ということだ。
 この後ろには、かつて農業・教育・工業化・電化といったテーマごとにパビリオンがあったのだが、現在ではそれらの建物の大部分は商店として使われているそうな。ここでも音楽が大音量で流れている。まったくロシア人の耳はどうなっているのだ?


 次の目的地はお土産の調達。物の本で『クラースヌィ・オクチャーブリ』というメーカーのチョコの評判が好いと読んだので、その直営店へ行くことにした。もちろん、この名前に惹かれたのが大きい。ヴェー・デー・エヌ・ハー駅からプロスペクト・ミーラ駅へ向かい、5号線(環状線)でクラスノプレスネンスカヤ駅で降りる。ここから、バリカードナヤ通りを経てパーヴァルスカヤ通りの29番地に店があった。なかなかお洒落な内装のチョコ専門店だ。職場向けなどのチョコをいくつか調達。計252P也。
 これで今日廻ろうと考えていたポイントはほぼ廻った。夕食までの時間が余っているが、まだホテルにチェックインしていない現状で赤の広場へ出向くと警官に会ったときに困ったことになりかねない。歩き疲れてもいる。そこで、2年前にも行ったカフェで休むことにした。バリカードナヤ駅からプーシキンスカヤ駅、トベルスカヤ駅を経てテアトラリナヤ駅へ。ここで再び地下鉄の5回券を買っておく。駅によってはKACCAが大混雑している時もあるので、残り少なくなったときは早めに買っておいたほうが好い。カメルゲルスキー横丁の"ZEN Cafe"へ。スターバックスのようなカフェだ。アイスコーヒーとタルトで計270P也。スズダリやウラジーミルでの食事と同じくらいの値段だ。モスクワの物価は高い。
 17:30まで休む。旅行最後の夕食はやはりきちんと決めたい。同じく2年前に行って満足した『ゴドゥノフ』へ。案内のおねぇさんは2年前と違うが流暢な英語を話す。中へ通してもらうと、ここでもポップスが。メニューも2年前と変えたのか、食べたかったstrudelが見当たらない。ウェイターもロシア語しか話さないので、アクローフカ・牛肉のソテー(蜂蜜とクヴァスのソース添え)・ロシア風プディング・紅茶を注文する。と、ウェイターが何やら言うので、食前酒のことかと思い『にぇ・すぱしーば』といっておく。まずはスープのアクローフカ。牛肉やキュウリや赤カブなどをクヴァスベースのコールドスープにしたものでさっぱりしている。クヴァスベースなのでちょっと炭酸が残っているのも悪くない。次に出てきたのは小さな壷。食べてみると甘い。これは、もしかしてデザートに頼んだプディングでは? 紅茶も出されてしまう。メインを飛ばされてしまったようだ。もしかして、何やらロシア語で言っていたのはメインに関することだったのか。そのまま勘定書きが出てきてしまったので仕方なくカードで払う。計627P也。どちらの品も味は悪くないだけに残念な展開だった。明日のランチでリベンジする気力もない… 外に出ると少々顔が火照る。クヴァスってアルコール入ってたのか?
 ホテルへ戻り、荷物を返してもらってチェックイン。パスポートの登録は1時間後に完了するそうな。6階に上がってみると、フロントよりもかなりぼろい内装。しかし、割り当てられた615号室の使い勝手は悪くない。20:00にパスポートを取り戻した。


 いよいよ今回の旅も明日で終わり。15:30にホテルのロビーにtransferが来ることになっている。その後は、最後のポイントであるSU581へのチェックインと出国手続き。トラブルなく無事に帰れるよう、最後の気合を入れていこう。


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