Marrakech

 07:00に起床。疲れは除れたが、少々腹痛がするので、念のため薬を飲んでおく。朝食は数種類のパンとジュース、コーヒーしかない。これがモロッコのホテルの朝食なのだろう。
 08:00に外出。朝の空気は意外にひんやりとしていて心地好い。ホテル前でタクシーに乗り、10分ほどでジャマ・エル・フナ広場まで。広場へつくと、まだ芸人も出てきていないのか、がらんとしている。そして、昨夜の屋台から出たのだろうか、かなり生ゴミくさい。近くの馬車の匂いとともに、堪え難いものがある。(


 広場の北からスークに入った。あら、ここもまだほとんどの店が開いていない。昼休みを取るために朝は早いものと思っていたのだが、当てが外れた。人通りのない静かなスークは、かえって不自然な気がする。目指しているのはベン・ユーセフ・マドラサなのだが、途中から道が分かりづらくなっているらしい。とりあえず、前を歩いている女性の後について歩いてみると、10分ほどで目論見どおり門を出た。左に行くと、緑の屋根にミナレットが目立つ
ベン・ユーセフ・モスク
。この右手に、ベン・ユーセフ・マドラサがあるのだが、まだ早すぎて開いていない。30分ほどあたりをぶらつくが、なかなか味わいのある街並み。(
) 09:00にやっとマドラサが開いたので、40DHを支払って入る。


 このマドラサは16世紀に建てられた神学校だそうな。入り口の右手には見事な彫刻に飾られた回廊と池が配された

中庭
がある。やはりイスラーム建築の粋は内部にこそある。そして、2階には学生の寄宿舎として使われた小部屋がたくさん。この小部屋の配置も複雑で、所々に吹き抜けを配したりして、部屋の暗さとのコントラストを際立たせる。そして、壁と柱には際限のない幾何学模様の彫刻。静けさの中でパターンの繰り返しを見ているうちに、何となく神性を感じるから不思議だ。(
) ほどなく、団体の観光客が何組も入ってきて、急に賑やかになってしまった。
 マドラサを出ると、じいさんが休んでいた。なぜか私の顔を見て『アッサラーム・アレイクム』と挨拶をしてくれる。こちらも『ワッレイクム・サラーム』と挨拶を返すと、にこやかになって握手をしてくれた。アラビアの街角には年寄りが似合う。
 再びスークに入り、広場に戻った。(
) 少し賑やかになってきたが、まだ蛇使いとヘンナで刺繍を描く人ばかりだ。蛇は苦手だし、刺繍をしてもらう気もないので、覗く気にもなれない。オレンジジュースを飲んで、今度はバイア宮殿を目指して歩き始めた。


 15分ほど歩いて、バイア宮殿に出た。10DHを支払って中へ入る。豪華な建物と中庭の繰り返しで構成されている。しかし、内装の華やかさにもかかわらず、なぜか心安さを感じる宮殿だ。ここにもたくさんの観光ツアー客が訪れていて、まぁ賑やかなこと。日陰でしばし休みながら見学した。(


 宮殿を後にして広場へ戻ることにした。
途中の道
も生活感があってなかなか好い雰囲気。広場へ戻ると、さらに観光客と芸人の数こそ増えているが、やはり蛇使いと刺繍描きと猿回しばかりだ。(
) 蛇使いは派手なので、客を集めやすいのだろうか。それ以外に目立つのは、まず民族衣装を着た
水売りのおっさん
。写真を撮ると、なんとチップを20DHも要求しやがる。すれてますねぇ。
弾き語りのおっさん
はなかなかいい声をしているのだが、いかんせん蛇使いの笛の音にかき消されてしまうのが気の毒。こちらは5DHだった。あとは、安っぽい蛇のおもちゃなどを売り歩く連中。もっといろいろな芸があるものと思っていたのだが… ただ、偽ガイドに声をかけられることもないのは有り難いが。スークを少々うろついてみる。(


 12:00近くとなり、灼かれるような暑さになってきた。スーク内にある"Cafe des Epices"にて、チキンサンドとカフェ・オ・レで昼食とする。アラビアパンに、香辛料で味付けしたチキンやトマト、レタスなどを挟み込んだサンドイッチはなかなか美味しい。2階の席も落ち着けて好い。これでチップ込み40DHならば大満足。
 スークを辿って広場へ戻る。店の売り声も人手も増えてきた。歩きづらいが、やはりこの方が好い。(


 クトゥビア前でタクシーを拾おうとするがなかなか捉まらない。ついには、地元のおばさん2名と相乗りとなってしまった。クーラーが効いていないので、窓を開けても外より暑い。13:00にホテルに戻った。腹痛もなかなか消えてくれない。オレンジジュースに中ったのだろうか? 薬を飲んで昼寝。


 一眠りして目を覚ます。が、17:00になっても腹痛が消えない。健康第一なので、夕方の観光は諦めて引き続き部屋で休む。列車の遅れにはじまって、どうもマラケシュは鬼門なのかもしれない。ジャマ・エル・フナ広場の、私の感覚からみて非日常的な光景は、確かに人間のエネルギーの発露ではある。だが、それが日常になってしまうというのはどういうことなのか、今回の旅行では分からなかった。
 19:30に、またもホテルのレストランで夕食を摂り、荷造りを進める。明日は、09:00発の列車でカサブランカへ戻る。ピックアップは08:30だし、約3時間の行程なので、それほど苦ではないだろう。午後はカサブランカ市内を散策できるが、近代的な街並みであまり見所はなさそうだ。


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