Prologue

 今年の旅行は、ルーマニアに行くこととした。当初は別の旅行先を検討していたのだが、治安上の不安が生じてしまったので、かねてから訪れたかったシギショアラを中心に周るプランを立てた。木造の教会や昔ながらの伝統的な農村文化の残る、北部のマラムレシュ地方も訪れてみたかったのだが、交通がかなり不便で、旅程の半分以上を移動に費やすことになりかねないので諦めた。その代わり、トランシルヴァニアの中心都市であるブラショフと美しい城のあるリゾートであるシナイアを旅程に組み入れた。
 今回も、手配をユーラスツアーズさんに依頼。万全の手配をしてくれた。ただ、燃油サーチャージには閉口。これほどの金を払っても何ら受けるサービスに向上が見られないというのが腹立たしい。
 とにかく旅に出たくて仕方がない!!! という状態で出発の朝を迎えた。


 今回は、オーストリア航空を使い、ウィーン経由でブカレストに入ることとした。ただ、土曜日は同日乗り継ぎのフライトがないため、ウィーンで一泊して、翌朝07:15のフライトでブカレストに向かう旅程である。まだ訪れたことのないウィーンではあるが、こちらの観光もすっぱりと諦め、空港前のホテルに宿泊することとした。
 搭乗フライトであるOS52のチェックイン手続きをすると、既に満席状態で、3連の席の中央しか取れないという。海外旅行客が減少しているのではなかったのか? 幸先の悪い旅立ちだなぁ…と、この時は思った。
 隣のカウンターを見ると、外国人のにーちゃんが預け荷物の大解剖を始めている。忍者刀だの、手裏剣だの、忍者服だの、『コードギアス』だの、ルイズのフィギュアだのがごろごろ出てくる。おま、日本満喫しすぎ。じーさん警備員3人が呆れながら危険物を選り分けていた。なんにせよ、日本のファンが増えてくれるのは嬉しいことだ。
 手荷物検査も大混雑。それなりに旅行客は多いようで。搭乗カウンターにもツアー客がたくさんいる。10:55出発のはずが、滑走路が混み合っていたようで、30分ほど遅れて離陸。今年も、旅が始まった。


 フライトの前半は、食事と睡眠とiPodといういつもながらの時間つぶし。ところが、何かのきっかけで口がほぐれ、両隣に座っていた一人旅の若い女性お2人といろいろ話した。お2人とも、たくさんの夢・可能性・経験を持っていて、話していてとても楽しかった。ただ話していることがたまらなく楽しかった、若い頃のような心持ちだった。
 気がつくと5時間以上も話していたようで、着陸態勢に。15:30(時計が7時間戻る)にウィーン空港に到着。お2人はウィーン市内に向かうが、私は空港前のホテルに宿泊である。名残は尽きないがここで別れ、本日の宿である"NH Vienna Airport"にチェックイン。到着ロビーを出て真正面にあるという、便利この上ないロケーションだ。
 外は小雨がぱらついていたが、やがて雷も鳴り出し、本格的な雨になった。一人旅には慣れているはずなのに、部屋に一人でいると、ちと寂しさを感じる。


 18:00に、明朝に備えての空港の様子の把握と夕食の調達のために外出。正直に言って、ぼろくて分かり難い空港だ。(もっとも、ウィーンにしては…ということもある。これが、例えば旧ソヴィエト諸国の空港であれば特にどうとも思わなかったかもしれない。) オーストリア航空のフライトは全てターミナル1でチェックインすることを確認したうえで、ホテルからターミナル1までの道筋を把握した。
 夕食は、マックという手も考えたのだが、パンやサンドイッチ、ハムなどを商う店で、適当にパンとハムを指定してサンドイッチ(むしろハンバーガーに近い)をつくってもらい、ついでにアプリコットのケーキ一切れと水1.5Lを5.32EURで購入。予想よりも美味で満足。しかし物価が高いなぁ…


 明朝のスケジュールを考えると、05:30にはチェックインカウンターに並ぶべきだろう。ホテルの朝食は05:30に始まるが、これは諦めざるを得ない。


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