04:45に起床し、身支度を整えてロビーに向かう。と、ロビーの向かいにあるレストランで朝食を摂れるようになっていた。暖かい物の準備は整っていなかったが、ハム・サラミ計3枚にジュース(オレンジかと思ったら何だか分からない味がした)、コーヒーを摂ってからチェックアウト。
05:40にターミナル1に出向く。と、予想外の大混雑。Departure Scheduleを見ると、9時頃までフライトが目白押しになっている。エコノミークラスのチェックインは、フライトに関係なく9つのカウンターで捌いているようだ。長蛇の列の後ろに並ぶ。30分ほどでようやく私の番に。5分ほどでさっと終了した。そのままゲートへ向かう。
チケットを持っていないと入場できないエリアにたくさんの店がある。出発客と到着客が混ざる構造になっている。ただ、イミグレーションを通過して出国してしまうと店が減ってしまう。帰国時の時間つぶしの際にも入国しますかね…?
06:30に、搭乗フライトであるOS789のゲートが開いた。ここで手荷物検査を行う。それを通過して、搭乗案内を待つ。眠い。7時過ぎにようやく搭乗案内があった。07:25に離陸。
09:45(時計が1時間進む)に、ブカレスト・オトペニ空港(以前にヘンリー・コアンダ空港に改称したらしいのだが、誰もその名前で呼ばない)に到着。初めて訪れる国の空港に到着した際は、一種独特の緊張感がある。イミグレーションでの入国審査(入国カードの類は特に必要なかった)では"Welcome"といわれた。ちょっと好感度アップ。Exchangeで、USD$54を114レイ(以下LEI)に交換。1LEI=50円と思っておけばよかろう。既に手荷物も出ていたので、スムーズに出口へ。私の名前を出してくれていたドライバーと合流。なんと片言ながら日本語を話す。空は雲ひとつない快晴、ちょっと汗ばむくらいの暑さながら、なかなかに快適。ドライバーから、ルーマニア国内でのホテルのバウチャーと列車の切符を受け取り、ユーラスツアーズさんが作ってくれたバウチャーを渡す。
市内へ向かう道筋には、予想よりも車が、しかも新しい車が多い。社会状況は好くなっているようだ。ドライバーが、注意事項や観光ポイント、美味い店などを教えてくれる。注意すべきはニセ警官(地下鉄はかなり安全らしい)、ブカレストの観光ポイントでmust seeは農村博物館、シナイアに猟師と契約して野趣ある料理を出すレストランがあるらしい。見つけられるといいのだが。
10:40に、本日の宿である"Hotel Capitol"に到着。フロントにパスポートを提示する際、いつも入れてあるところに見つからず、血の気が引いた。結局、いつも入れているポケットの隣に入っていたのだが、本当に焦った。どんなに手続きで忙しいときでも、パスポート・バウチャー・現金だけはきちんと扱わねばならない。部屋は、…正直に言って、ぼろい。バックパックから不要なものを取り出して身軽になり、11:00に観光へ出発。
まずは、ホテル前の
を南に歩く。日曜のせいか、ほとんどの店が閉まっている。通り沿いには、由緒ありそうな建物が点在していて、なかなかにいい雰囲気。と、小さな教会で集会を開いているのに出くわした。漏れ聴こえてくる讃美歌には、信者ならずと心打たれる。祈る人々の邪魔にならないよう、しばし聴かせていただいた。
Bd. Natiunile Uniteを西に歩く。広い通りだが、店も人通りもなく、寒々しい通りだ。そして、ある意味でブカレスト最大の名所である、(Casa Poporului; 現地ではPalatul Parlamentuluiと呼ばれている)が姿を現す。とにかく馬鹿でかい。ここまで来たら、昼食よりもここの観光を優先することにして、さらに歩いたところにある入り口へ。既に何人も並んでいたので何も考えずに並んだのだが、しばらくして、まず左手にある土産物店でチケットを買わねばならないことに気づいた。(この行列は、入館に際しての手荷物検査のための行列で、知らずに並んだチケットを持たない人が追い返されていた。) ガイド付きツアーで見学せねばならないのはいいとして、入場料に15LEI, さらに撮影料にプラス30LEIとな!? さらに、13:00集合とは… 1時間という中途半端な時間つぶしとして、『国民の館』周辺をぶらつきながら、軽食の摂れるカフェを探すこととした。
自由大通り(Bd. Libertatii)を南に向かうが、やはり人通りも店もない。
の正面に当たるPlata Consititutieiから写真を撮るが、馬鹿でかいばかりで威厳や荘厳さといったオーラを一切感じさせない。空しさばかりがつのる。
『国民の館』からは、(Bd. Unirii)がまっすぐに延びる。なんでも、チャウシェスクの意向で、シャンゼリゼ通りと寸分違わぬ通りを造らせたらしい。もっとも、幅がオリジナルより広くなってしまったらしいが。さらに、オリジナルとの最大の違いは、両側に洒落た店など賑わいなどを感じさせてくれる店などが全くないこと。大きな建物と並木だけが延々と続く。静かな散歩にはいいかもしれないが、これだけ単調だと歩く気も失せてくる。
カフェもなさそうなので、12:30に入り口に戻った。少し空腹だが耐えられないほどではない。しまった、せっかく日本から持ってきたカロリーメイトをホテルに置いてきてしまった… 13:10に入場開始。
『国民の館』は、共産主義時代のルーマニアを支配した故チャウシェスク大統領が造らせた宮殿である。床面積では、ペンタゴンに次いで世界第2位という規模を誇る。もっとも、建築途中で革命が起きてしまい、いったん工事が中断されたものの、なぜか再開されているらしい。現在は、国際会議やコンサートなどのイベントに使われているそうな。
見学ツアーではいろいろな部屋を見せてもらうが、どこもかしこも大理石をふんだんに使った広い部屋というだけだ。チャウシェスクは大理石フェチか? テーマ性というか、美的センスというか、デザイナーの意図というか、そういうものが全く感じられないので、巨大さと労力には圧倒されても、美的価値を見出せない。もっとも、この馬鹿馬鹿しさは、ある意味希少価値ではあるなぁ…と思いながら写真を撮った。(
・・・・)
最上階のバルコニーからはを見渡せる。ここから演説をするのはさぞ気分がいいだろう。独裁者冥利に尽きるというものだ。もっとも、Michael Jacksonとかいう人が、ここから群集に向かって"Hallo Budapest!"とやらかしたらしいが。
1時間ほどで見学ツアー終了。やっと終わった… ブカレスト観光では確かに必見ではあるが、かなりげんなりさせられるところだ。ここの見学を最終日にしなくて本当に好かった。『国民の館』とその周辺エリアの醸し出す負のオーラ、というよりも、もはや虚無のオーラのおかげで、こちらの意志力も奪われるようだ。ここには二度と来ないぞ!
統一広場(Plata Unirii)まで歩くと、ようやく人出も店も増えた。やはり街はこうでなくては。適当にカフェに入り、何かのパイ(多分ポテトだと思うが)とコーラで計8.40LEI也。クーラーが効いているのでまぁ好し。
本日の次の課題は、明朝の列車の旅のために、経路および駅を下見しておくこと。地下鉄で駅へ向かう。切符代は2回券(なぜか1回券はない)で2.20LEI也。最初に買ったとき、3LEIを出して釣銭が返ってこなかったのだが、切符を見たら値段が書いてあったので誤魔化されたことに気づいた。あのばばぁ… さて、
は社会主義的な造りであるが、ゴミが落ちておらず清潔なのが素晴らしい。列車も最近導入されたらしい近代的なもので、一編成に2名のセキュリティスタッフが乗り込んでいる。バスの車輌も最新式だし、ブカレストは公共交通にかなり力を入れているようだ。
長距離列車の発着駅である(Gara de Nord)へ到着。さて、既にお気づきの方もおられようが、ルーマニア語はスラブ系の言語ではなく、むしろラテン語系である。この"Gara de Nord"という駅名をはじめ、ちりばめられたラテン語系の語彙に戸惑う。ラテン語系の国なんてフランス(それもパリだけ)くらいしか行ったことないわい。
さて、このGara de Nordであるが、治安面で悪評高いエリアである。昼間でもやばい、という噂もあったので、注意しつつ駅の中に入るが、思ったよりも明るい雰囲気だ。スケジュール掲示も分かりやすいし、プラットホームはヨーロッパにある櫛状の造りだ。マックなどのファストフード店もあり、食料の持ち込みも出来そう。明朝の確認を終えたところで、ついでに手数料ゼロを掲げるExchangeで、50EURを174LEIに交換。これで数日はもつだろう。(翌日には誤りであることが分かるが。)
時刻は16:00となっているが、あまりに天気が好いので、必見ポイントといわれた農村博物館に行くこととした。Gara de Nordから地下鉄でAviatorilor駅に向かい、そこから公園沿いに歩く。途中、
がある。…のだが、残念ながら修理中で、足場とネットで覆われてしまい全体像が分からない。パリの凱旋門と同様に、各方面から道が集まっているので、農村博物館へ向かう道がどれだか分からなくなってしまった。散々迷った末にようやく辿り着いた。
農村博物館(Muzeul National Satului)は、ルーマニア各地から農家・教会などの建築を集めた屋外博物館だ。入場料6LEIを支払って中に入ると、木造のいろいろな建物があちこちに。どれもこれも、素朴で力強く、それでいてさりげなく装飾の技が凝らされ、そしてどこか懐かしい。ブカレスト最大の公園の一角ということもあり、外の喧騒も届かない。ここは本当に気持ちが落ち着く、素晴らしいところだ。ブカレスト第一の観光ポイントといっても言い過ぎではないだろう。(・・・・・・・・・・・)
18:00を過ぎたし、そもそも昼食をろくに食べていないので、夕食こそきちんと摂りたい。『地球の歩き方』で目をつけた店に行くために、またも地下鉄でPlata Unirii駅へ向かう。さて、旧社会主義国の地下鉄の例にもれず、駅構内にたくさんの店がある。さながら『駅ナカビジネス』を先取りしているといったところか。ただ、下着類の店が多いのはなぜなのだろう?
ここから旧市街が残っているエリアをうろつきながら店を探す。このエリアはなかなかにいい雰囲気だ。昔は『東欧の小パリ』と呼ばれたというのが分からないでもない。(
・)
ついでにに出くわした。ドラキュラのモデルとして有名なヴラド・ツェペシュが築いた砦の跡で、彼の像も建てられている。ブカレストに戻ってきた日に、この辺りをもう一度散策してみよう。
散々うろついてようやく店を見つけたが、なんと改装工事中で閉店。かなり落ち込んだ。時刻は18:40, 腹は減ったし、店を探しなおすのも面倒だし、Piata Uniriiにあるマックで夕食を摂ることにしてしまった。ダブルチーズバーガー・ポテト・(やたらでかい)コーラで10.40LEI也。なんだかコーラが妙に美味い。普段は飲まないのだが。
地下鉄でUniverstatii駅へ向かい、徒歩でホテルに向かう。途中、1989年の民主革命で亡くなった市民の慰霊碑を見つけた。しばし黙祷。水を調達してホテルに戻った。シャワーの蛇口ががたついていて、お湯が出づらい。このホテルは『はずれ』だったなぁ。でも、ブカレストへ戻ってきた日にもう一泊することになっている。
明朝は、07:30発の列車でシギショアラに向かう。今日のシミュレーションの結果、1時間前にはホテルを出ておいたほうが好さそうだ。今度こそ朝食は諦めるしかないだろう。
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