Havana

 06:00起床。シャワーを浴び、昨日の日記をつける。腹痛も頭痛もすっかり消えて調子が好くなってきた。07:30に、フルーツジュース(生ぬるい)・目玉焼き・フレンチトースト・カプチーノの朝食。100EURを115CUCに換え、08:30に観光開始、中央公園へ向かった。(



 今日は、まず自分の恥を書かねばならない;タカリにひっかかった。中央公園の前にある、東に向いている

ハバナ大劇場
(Centro Gallego)の写真を撮っていたところ、アフリカ系の男女二人組に声をかけられた。日本人の名刺等を何枚か見せられた後に『今日からサルサのフェスティバルがあるので一緒に行こう』といわれ、ほいほいとついていってしまった。10分ほど歩いたところで、『Buena Vista Social Clubが撮影された』という触れ込みのバーの前に着いた。この時点でタカリと気づいたのだが、引っ張り込まれてしまい、モヒート(なぜかノンアルコールだった)を3杯。ここで『家族を助けてほしい。40CUC恵んでくれ。』といわれた。断れる雰囲気でもなく、40CUCを渡した。さらに、モヒート3杯で24CUCと、こちらもぼったくりであった。この間約30分、これで解放されたのは幸運というべきだろう。
 こうして書くと、諸外国で何処にでもある手口で、これまで潜り抜けてきたのにあっさりと引っかかった自分が情けない。『キューバ人は人が好い』という先入観を持っていたのが間違いで、何処にでも悪人はいる(しかも、恐らく増えつつある)ことを改めて思い知った。64CUCは授業料と思うことにする。また、タカリがくれた3MN札(3MN札にはチェ・ゲバラの肖像が印刷されているので、外国人を騙すのによく用いられるらしい。)は、戒めとして旅行用の財布に入れておこうと思う。


 オビスポ通りのCADECA(両替所)で、50EURを65CUCに換えた。って、ホテルよりもずっとレートが好いではないか。北へ向かい、Lonely Planetにあったショッピングモールを覗いてみるが、実態は小さな土産物店に過ぎず、欲しい物もなかった。そのままマレコン通りに出て、

モロ要塞
ハバナ市街
を眺めつつ、海風に吹かれつつ、一休み。
 再び海沿いの道を旧市街へ向かう。と、和風の人物の像を見つけた。
支倉常長の像
とのこと。何でも、日本からローマへ向かう途中でハバナに立ち寄ったとのことだが、果たして本当だろうか。近くの通りでは、フリーマーケットの開店準備が行われていた。ここにもいい車が停まっている。(


 ある意味でハバナ最大の見所である、革命博物館(Museo de la Revolucion)に向かった。道端にも

スローガン
がある。以前の大統領宮殿を用いているところが『らしい』といえる。撮影料込みで7CUCを支払い、荷物を預けて中へ。階段には、革命50周年を記念する
垂れ幕
がかかっている。
 見学は3階から始まり、コロンブスの『発見』から、キューバがいかに収奪され、そして民衆が抵抗を続けてきたかを、写真・記事・当時の品々で示す。そして、スペインに代わり、アメリカによる経済支配が続き、それに民衆が抵抗を続ける中で、フィデル・カストロが現れた…という展開だ。もっとも、思ったほどフィデル個人の展示は多くはない。…というより、よく分からない。
旧市街
も見渡せるのが意外な収穫。
 3階にある土産物屋は、シャツ・国旗・垂れ幕などの品揃えが豊富。ゲバラのイラスト入りシャツもかっこいいのだが、日本で着るのはちと抵抗があるし、旗や垂れ幕も飾るところもない。なんと、欲しかった野球チームのユニフォームを模したTシャツも売っていた。値段も18.90CUCと、スポーツ用品店の1/3程度。ポロシャツ含め3枚を計48CUCで購入。(多分、ポロシャツを10CUCほど安く勘定している。) これで自分の土産は整った。
 2階の展示は、革命成功後の国づくりの歴史である。制度を整えつつ、アメリカの干渉とたたかいつつ、社会主義諸国の協力を得つつ、いかにキューバが発展してきたかを示している。政権の正統性を示すのが目的だから、当然の内容ですな。1990年代以降の経済危機にはあまり触れられていないようだった。また、
ゲバラとシエンフエゴスの人形
がなかなかリアル。
 なお、2階には、大統領宮殿当時の豪華な部屋も残されている。中でも
『鏡の間』
は、ヴェルサイユ宮殿のそれを模したものだそうな。ここだけは、ラテンアメリカとはとても思えない。
 1階に降り、バティスタ(革命前のキューバの大統領)・レーガン・小ブッシュを揶揄したイラストの前を抜けると、通りを挟んだ反対側にある大きなガラスケースに行くことが出来る。ここには、フィデル、ゲバラほか革命軍がキューバに入る際に使ったヨット
『グランマ号』
が収まっている。兵士が24時間警備しているそうな。周囲には、キューバ危機の際に撃墜したU2偵察機の残骸などのハードウェアが展示されている。
 カフェでキューバ・コーラを飲み一休み(1CUC)。12:00に博物館を後にする。展示ももちろんだが、土産が整ったのも嬉しかった。旧市街へ向かう。この辺りはまだ修復が進んでいない。(


 

アルマス広場
(Plaza de Armas)に戻り、”La Mina”で昼食とする。モヒート・スープ・キューバ風の豚肉料理・デザート・コーヒ-がセットで14CUCということで、それを注文。ここのモヒートはアルコール入りだったので飲むのを止める。10分ほどで料理が出た。豚肉のソテーに、野菜とライスを沿え、さらにライスに黒豆の煮込みをかける。まろやかで素朴な味だが、香辛料を使っていないのか、味にインパクトがない。スープは、トウモロコシか豆をすりつぶしたような物だった。デザートはケーキのような形をしたプリンで、コーヒーは濃いエスプレッソ。16CUCを支払った。


 アルマス広場に面している市立博物館(Museo de la Ciudad)へ。もともとはスペインの提督官邸として建てられた物だそうな。撮影料込みで7CUCを支払い中へ。

中庭
が何とも心地好い。中央の像は、かのコロンブスとのこと。建物の中には、昔の衣装や馬車、食器などが展示されている。ドイツやロシアほどの豪華さはないが、これはこれで美しい。よくぞ、独立戦争や革命などで喪われなかったものだ。
 問題は2階で、ダイニングルームや客間、バスルームが残されているのはいいのだが、ここにいる監視員のおばはんが、立ち入り禁止区域に観光客を引っ張り込んでは記念撮影をし、チップを強要する。5人のおばはんに計7CUCをむしられた。こういうのは本当に気が滅入る。中庭に佇んでいると風が心地好いが、早々に外に出た。(

 ビエハ広場の日陰で休んでいると、ここでも若い男に『タバコ? 女の子?』と声をかけられる。これまでも何度かあったが、朝のタカリといい、先のおばはんといい、『観光の毒』は想像以上にハバナに廻っているようだ。『純朴な、昔にタイムスリップしたハバナ』のイメージだけで訪れると、幻滅するうえに痛い目を見るかもしれない。


 Mercederes通りを北へ向かい、”Cafe de Las Infusiones"で、スプライトを注文し一休み。冷えた炭酸がたまらなく美味い。水500mlも注文し計2CUCを支払った。
 もう一つ必要な土産であるチョコレートを入手するために、Mercederes通りを南に向かい

"Museo del Chocolate"
へ。名前の通りのチョコレート専門店だ。店の前には行列が出来ているので後ろに並ぶ。20分ほどでようやく店内へ入れた。3人ほどのスタッフが客をさばくだけの小さな販売店だ。いろいろな種類のチョコレートを量り売りするのが基本らしいが、訊いてみると箱詰めもあるらしいので、いくつか購入。店員が紙を折って作るような箱で嬉しくなる。値段もなかなか安く、これはいい買い物だった。(もらった人が喜ぶかどうかは関知しないことにしている。)
 
カフェ
も併設されているので、さらに10分ほど待って席に着く。アイスココアらしきものが人気らしいのでそれを注文。よく冷えていて、チョコの甘さが程よく、実に美味い。これがわずか0.8CUCというのが信じられない。チップ込みで1CUCを払った。それにしても、博物館があるように思えないのだが…


 時刻は16:00, 疲れてきたし、チョコを持って炎天下をぶらつくのも好くないので、ホテルに戻ることにした。所持金は残り約50CUC, 食事代を考えるとぎりぎりなので、CADECAで20EURを25CUCに換えた。これで十分だろう。部屋に戻り一眠り。
 19時に再度外出し、夕食を考える。シーフードも飽きたので、パスタにしようと思い、Lonely Planetで勧められていた”La Dominica”へ。店名から採ったと思われるドミニカ風パスタとフルーツジュースを注文。さて、パスタであるが…全くコシがない! しかも、かけ回してあるトマトペーストも水っぽく、ろくに味がしない! これがお勧めって、Lonely Planetもたいがいである。何とか食べ終えたが、昨年に続きパスタでひどい目にあった。12.1CUCを支払った。20時にホテルに戻った。このペースが私には合っている。


 明日はハバナ滞在の最終日。旧市街も一通り見物したし、土産も揃ったし、ゆっくりと過ごしたい。いつの間にか、今年の旅も後半戦に入っていた。


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