旅の行き先を決めるきっかけにもいろいろあるが、今回は床屋でチベット出身の方と隣り合わせた際に『今年はチベット旅行に適した年』と聞いたことが決め手だった。上海万博が開催されているため、中国人の旅行先としても上海の人気が高くなる一方、(事の善悪は別として)中国政府も治安維持にいっそう力を入れることが予想されるので、好機到来と思われた。
手配は、これまでに何度か依頼したファイブスター・クラブのパッケージツアーを利用した。北京からラサまでの青蔵鉄道を手配できるとうたっていることが大きかった。また、ラサ滞在中は完全フリーとうたっていたことも選択ポイントであった。(もっとも、現地に着いてみたらガイド同行必須であることが分かったが) 旅行時期は、いつも旅をしている8月上旬にはラサで大きな祭りがあるらしいので、その時期を外して7月下旬に出発することとした。
ラサは約3,800mの高地になるので、高山病の心配がある。登山用の酸素缶を準備したのだが、預託手荷物にスプレー缶を入れることが出来ないので断念。現地で対策するしかないだろう。
なお、今回の旅行では、両親も同行することとなった。
11:40上野発のスカイライナーで成田空港へ向かう。ちょうど今日から成田スカイアクセス線が開通し、新しい車輌の運行もスタートしたためか、『撮り鉄』がたくさんいる。客車には新品独特の匂いがする。高砂駅から北総線経由の線路に入り、スピードが上がる。これまでより15分ほど短い45分ほどで成田空港第一ターミナル駅に到着。利便性は上がったが、料金も500円ほど高くなった。
空港で往復のフライトのeチケットを受け取り、CA926のチェックインカウンターへ。既に長蛇の列が出来ているうえ、遅々として進まない。チェックインを完了するまでに40分ほどもかかってしまった。どうでもいいが、なぜ中国人は皆電気炊飯器を持参しているのだろうか? 日本土産として人気があるのだろうか?
昼食を摂って出国すると既に14:30, 出発は15:15なのに、14:50には最終案内のアナウンスがかかる。なぜそんなに焦らせるのか? そのくせ、離陸は15:30過ぎだったりする。機内サービスのレベルは5年前の日系エアラインのレベルだろうか。
18:30に北京到着。とにかく真新しくて大きな空港だ。上海の空港も大きいと思っていたが、さらに大きい。行けども行けどもなかなか入国審査に到着しない。ターミナル間移動も5分以上かかる。それでも、預託手荷物が出ておらず、ターンテーブルで10分ほど待たされた。
現地ガイドの楊さんと合流。ついでに、ATMで3,000元ほど引き出しておく。駐車場に出ると蒸し暑い。気温32度だそうな。さすがに車の中は涼しくて助かる。
車の中で、チベットへの入境許可証の写しを受け取る。本物はラサで受け取ることになる。(もっとも、ラサでも受け取ることはなかった。こちらも忘れていた。) また、列車の手配は、希望通りラサまで直通のT27列車になっていた。直前に受け取った日程表では北京発が13:47となっていたため、西寧で乗り換える必要があるのではないかと思っていたが、その懸念もどうやら消えた。
40分ほどで、今夜の宿である北京旅居華僑飯店に到着。いわゆる胡同の真ん中にあるようだ。明日は、20:00にホテルのロビーで待ち合わせ、北京西駅に向かうことになる。中国のホテルのご他聞にもれず、ここも外見とロビーが立派なわりに、部屋はそれなりという造りだ。
夕食を摂るために20:00に外出。周囲では、庶民が上半身裸で飯を食っている。羊肉を焼く匂いが漂い、なかなか美味そうに思える。建物は古い様式ではあるものの意外に新しく、『残すこととされた胡同』といった印象。こういう街は大好きだ。15分ほど歩いて、大通り沿いにあった飯屋に入り、茄子の煮込みに胡麻ダレをかけた冷菜・農家風牛肉の炒め物・青梗菜の炒め物を食べる。中国は、適当に選んだ店でもそこそこ美味いものを食えるのが有り難い。計39元を支払った。
明日は、昼間は北京を観光し、夜にはいよいよ長年の夢であった青蔵鉄道に乗る。48時間・約4,000kmの旅が待っている。