Lhasa / 拉薩

 目覚めると寒いほど。空には雲が立ち込め、雨も降っている。長袖シャツだけでなく、ウィンドブレーカーも必要なほどだ。別館で朝食を摂るが、やはり品数が少ない。パンが甘いのが不思議ではある。西瓜もあまり美味しくなかった。


 10:00に張さんと待ち合わせて、観光開始。まだ、ぽつぽつと雨が降っている。楽しみにしていたラサの青い空も当分お預けだ。
 まずは、最大の目的であるポタラ宮内部見学用の予約券を取りに行く。夏の観光シーズンには、予約券を事前に入手し、指定された時間に訪れる必要がある。タクシーで少し走ると、ついに小高い丘の上に立つ

ポタラ宮
が見えてきた。この目で見るためにどれほどの苦労をしたことか… 麓には
マニ車
がずらりと並んでおり、一つ一つ廻しながら進んで行く人たちの列が出来ている。
 10分ほど並んで予約券を入手し、首尾よく明日の11:20に入場できることになった。近くの銀行のATMで2,500元を引き出しておく。


 張さんのお勧めで、タクシーでチベット茶の茶館に行った。スタッフが茶を立てて飲ませてくれるスタイルだ。チベットの王様のお茶や、薬草などで出来た雪茶、プーアル茶、ヤクのミルクティーなどを味わう。チベットの王様のお茶はほのかに甘く、雪茶は苦かった。ヤクのミルクティーは塩味が多いらしいのだが、ここでは甘く、ミルクティーのようだった。当然のお約束でお茶の販売があり、チベット王様茶・雪茶などを買い、計450元を支払った。クレジットカードが使えるのが有り難い。


 茶館を後にして、ラサの旧市街へ向かう。移動が全てタクシーになっているので、予想以上に出費が多くなっている。旧市街の周囲を巡るバルコル(八廓街)の一角でタクシーを降り歩き始めた。ここは、レンガのようなものを積み上げて白壁を塗っているチベットの建築を残している。天気は未だ曇っている。晴れていたらさらに心地好い散策となっただろうに…(


 バルコル沿いにある大きな寺であるジョカンを訪れた。(
)7世紀に建立された古い寺で、ラサの街はこの寺を中心に築かれていったのだそうな。聖地らしく、一心に祈る信者と観光客とが入り混じっている。一人当たり85元を支払って中へ入った。中庭を通り、
本堂
へ入っていく。
 左手から時計回りに回廊を巡る。そして、回廊の左手に多くの小部屋がある、そこには、色鮮やかな、様々な表情をしたたくさんの仏像が、バターの灯明に照らされて独特の雰囲気を醸し出している。十一面観音や千手観音など、日本でも有名な仏もいるが、表情が豊か。穏やかな表情をたたえる日本の仏像とは異なる。空気の薄さもあるのか、頭がぼーっとしているのかもしれず、これまでに観たどの宗教施設とも違う、魂に触れるような感覚を覚える。じっくりと拝みたいのだが、内部の見学は15分に制限されているので停まらずに進むしかない。
 中心にある、ご本尊である釈尊像の前に行くためには長蛇の列が出来ており、とても入れないそうにないので諦める。観光客が多いためとはいえ、15分では短すぎる。
 2階に上がると、本堂の上部構造などがよく分かる。(
) 遠くには
ポタラ宮
が見える。


 ジョカンを出て

バルコル
を歩く。いまや店のほとんどが土産物屋と化している。昼食を摂るために、カフェ
"Makye Ame"
に入る。黄色い壁のこの店は、ダライ・ラマ6世が惚れ込んだ娘がいた酒屋だったらしい。出発前からラサで是非食べたいと思っていた、ヤクのステーキを注文。赤身なのに柔らかいのが不思議で、予想以上に美味しい。計230元を支払った。
 ガイド付旅行のお約束で、土産物屋に案内される。が、特に欲しいと思えるものも見当たらない。マニ車を買ってもしょうがないし…
 バルコルを歩いていく。ようやく青空が出てきた。空の青さもさることながら、陽射しが直線的に刺してくるような印象。ハバナやヤルタのような陽射しとは少々異なり、光が強いような気がした。(
) バルコルの端からタクシーに乗り、いったんホテルに戻り一休み。


 18:00に再び張さんと合流し、行きつけというハルピン風水餃子の店で夕食。海老餃子などを注文した。美味しく、量もある。計105元ほどを支払った。
 ラサで一番というというスーパーを案内してくれるというので、

を歩く。この辺りは、普通の中国の街だ。スーパーマーケットの品揃えもごく普通。もっとも、ラサまでの距離を考えると、これだけの物資が並んでいること自体が驚きではある。


 今夜は、チベットの踊りの公演を観ることになっていたので、タクシーで劇場へ。観光バスが何台も着いている。一等席のチケット代として計1,140元を支払った。
 水・土・風などをテーマとした、チベットの文化を題材とした舞踊公演だが、政府主催だけあり、チベットの衣装と楽器を用いて漢族風に演出したという印象。当然、ダライ・ラマのかけらもない。それでもなかなか面白かったのだが、最後の五星紅旗ですっかり興ざめ。『中国共産党の支配下で幸せに暮らすチベット族』といったところだろうか。公演を撮影し放題というのも不思議ではあった。
 10分ほど歩いてホテルへ戻り、本日の予定は終了。


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