もう少し遅くまで眠るつもりだったが、07:00に目が覚めてしまったのでシャワーを浴びる。やっとさっぱりした。08:00にフロントへ行き、まず無料で使えるwi-fiのパスワードをもらって朝食へ。ハム・ソーセージ・チーズ・果物などのよくある朝食だ。朝食を終えてフロントで両替を頼むが、『30分後に来い』とのことなのでいったん部屋に戻り、荷物の整理をする。
結局、09:00になってもフロントでの両替は出来なかったので、ホテルを出て左手にある銀行に行く。5分ほど待たされたが、USD50を39マナト(以下AZN)に交換した。交差した大通りを南に行くと地下鉄Genclik駅があるはずなのだが、地図で想像したとおりかなりの距離がある。天気は曇り、気温は23℃とのことで、歩くには快適だ。
20分ほども歩くと
があったので、階段を降りる。と、入り口の警備員に呼び止められた。荷物のチェックがあるというので鞄を開けると、ろくに見もしないで『行っていいよ』といわれた。切符売りのおばちゃんからICカード式の切符を買った。チャージできるタイプで、保証金AZN2に6回分(バクーの地下鉄は一律の料金らしい)の料金で計AZN4を支払った。これもいい土産になる。
まず向かうのは、バクー最大の見どころであるイチェリ・シャハル(旧市街)である。Genclik駅からIceri Seher駅までは乗り換えなしで行けるはずなのだが、28 May駅を出る際の次の停車駅のアナウンスが予想と異なる。やはり違う駅に着いてしまった。どうも28 May駅で交差する別の路線に入っているらしい。いったん降りて反対方向の列車に乗り28 May駅で降りる。駅のホームに居た制服を着たおばさんに訊いてみると、どうも違う路線に向かう列車が交互に出るらしく、次に到着する列車の終着駅がホームの前後に表示されている。Iceri Seherと表示されているときに来た列車に乗るとちゃんと着いた。なお、地下鉄はモスクワでずいぶん昔に見た古いもので懐かしかったが、とても暑い。しかし携帯はちゃんとつながるようで、空調よりも携帯電話を優先したということか。
裏手にが見える。あの向こうがイチェリ・シャハルだ。帝政ロシア時代以前の街並みに加え、シルヴァン・シャーの宮殿などが修復・保存されており、世界遺産にも登録されている。門を潜って坂を上ると、いきなり宮殿の入り口に出た。10:00を過ぎていたので、AZN2を支払って入ってみた。中庭には欧米系のツーリストグループがいるくらいで、観光客もさほどいないようだ。中庭の左手の宮殿内部はまだ開いていないようなので、階段を降りてみると、霊廟やモスクの跡と思しき建物があるが、別にこの地域の歴史に詳しいわけでもないので今ひとつ。戻ると宮殿が開いていたので中に入ってみると、昔の道具・衣装・絨毯などが展示されているが、これもどうも面白みに欠ける。ただ、格子窓から見渡すカスピ海の景色は好かった。(・・・・)
宮殿を後にして、適当にイチェリ・シャハルをうろついてみる。現在でも多くの人が住んでいるようで、2階に突き出たバルコニーに洗濯物が干されている。この様式はマラケシュやヤルタでも観たなぁ。特に名所となるものがあるわけでもないが、迷路のように入り組んだイチェリ・シャハルをふらふらと彷徨うのはたまらなく楽しい。(・) と、大通りに出くわした。左手には城壁、その下には先ほどとは違う。どうやら旧市街の反対側の端にたどり着いたらしい。そのままに行くと、すぐに堅牢・無骨な石造りの塔が見えた。これがバクーのシンボル・だ。この無骨さになぜ『乙女』かといえば、つまり難攻不落を祈念してのことらしい。乙女とはかくありたいものである。そのまま大きな通りをいくと、モスクがある。この前で一休み。ベンチがたくさんあるので有り難い。カスピ海から吹く風が心地好い。そういえば、バクーの語源は『風の街』だとか。さらに行くと、元の場所に戻った。(・)
ここでイチェリ・シャハルを出て、城壁の外側の道に沿って歩く。ここには、19世紀後半の第一次石油ブームの頃に建てられた瀟洒な建物がいくつもある。トルコ・中東風の旧市街のすぐ外側にヨーロッパ風の建物があるという、そのコントラストが面白い。(
・・)
ちょうど11:30だったので、LPで紹介されていた"L'Aparte"で昼食を摂ることにした。肉料理にいささか飽きていたので、Green Omeletteとカプチーノにした。出てきたのは、バジルだか何だかを卵に大量に入れた後に焼き上げたお好み焼き状のものだった。バジルの香りがきついが見かけよりは美味かった。カプチーノは、ココアかと思うくらいに甘かった。パンがついていて、計AZN4を支払った。
午後は、どうしても行ってみたかったアテシュギャーフ(拝火教寺院跡)に行くことにした。LPによれば、地下鉄Nerimanov駅から84番バスでSuraxani駅に行って3分ほど歩けばいいらしい。Iceri Seher駅まで戻り、行き先を確かめて列車に乗り、Nerimanov駅で下車。地上に出ると偶々バス乗り場(というよりは溜り場)で、しかも目の前に84番バスがいた。運転手にLPを見せてSuraxani駅に行くことを確かめたうえで、AZN0.2を支払って乗った。
Heydar Aliyevの名がつけられた片道3車線の大通りを行く。独裁で有名だった前大統領の名を冠するだけあり、再開発の真っ只中らしい。廃墟となった工場と真新しくも画一的な高層住宅。これぞ社会主義、個人的には萌え萌えラブリーである。(
・)
大通りから別の道に行くと途端に崩れかけたような低層住宅。第二次石油ブームは万民を潤しているわけではないのか。30分ほど乗っていると、で停まった。運転手に確認すると頷いたので、ここがSuraxaniかと思い降りる。LPの記述にしたがい、線路に沿って3分ほど南にいくと交差点があり、右に行くと、広い建物があったので、ここがアテシュギャーフかと思い近づいたが、そこにはHotelの看板。と、外でトランプをしていたおっさんが『アテシュギャーフは線路沿いをさらに行け』と身振りで教えてくれる。さらに『タクシーで5ドルでどうだ?』というのは断り、再び歩き出す。3分ほどで本物のSuraxani駅に出た。さらに3分ほど歩くと広場のようになっており、正面にがある。この右手にアテシュギャーフがあった! これで5ドルとは、ずいぶんと足元を見たものだ。さて、左手にはがあり、写真を撮っていると警官に呼び止められた。どうやら油田は撮影禁止らしい。とても丁寧な態度ではあった。
アテシュギャーフは、18世紀頃にインド系の人が拓いた拝火教の寺院である。この辺りは石油や天然ガスが豊富に埋蔵されており、よく自然に発火したらしい。そのような火を神聖視したのが拝火教とか。ただ、ここは19世紀後半には宗教活動を停止し、現在の火は地元のガス会社が供給しているのだそうな。入場料に撮影料を加えて計AZN4を支払った。中央に
、それをが取り囲んでいるという構造。寺院跡の中央とその横でが燃え盛っていた。当然だが、近づくと熱い。確かに、このような火が自然に生まれたら、何がしかの神性を見出したくなるだろう。周囲のキャラバンサライには、当時の道具や、インド系を模した人形での生活や修行の様子が再現されている。妙にリアルでちょっと気持ち悪い。
ガイドは(有料なので)断ったのだが、係員が英語でいろいろ説明してくれる。有り難いのだが後で金を請求されるのでは、と心配したが、別にそんなこともなかった。ぐるっと一回りしてしばし休み。教科書で読んだだけの拝火教に初めて触れるというのは感慨深い。やはりここまで来てよかった。他には、やはり欧米系の年寄りのツアーの一団のみ。公共交通機関で一人で来たというととても驚かれた。LPの記述に従っただけなのだが。
Suraxani駅まで戻ると、84番のバスが停まっていた。ここが終着地点だったのだ。15:15に出発。油田地帯を通るので車窓から撮影すると今度は乗客に注意された。そういえばバスの窓の上半分が黒くなっているが、撮影をさせないためらしい。撮影も出来ないのでつい眠ってしまうと、Nerimanov駅に着いていた。
続いて現代のバクーの中心地であるNizami通りに行くこととし、地下鉄でSahil駅へ。この真上にショッピングモールがあるので覗いてみるが、欲しかったバクーのチームシャツは売っていなかった。5分ほど歩くと
へ出た。ここは歩行者天国となっていて、両側にブランドショップなどがあり、まぁ上海の南京東路のようなものか。ベンチも多く、休みながら歩く。左手にある噴水広場のほうに行くと人が急に増えた。ここが一番の目抜き通りらしい。ちょうどマクドナルドがあったので、コーラを買って一休み。無料のwi-fiも使えたので、TwitterやFacebookにアクセスしながら17:00まで休んだ。スマートフォンを持っていると何かと本当に便利だ。ただ、うっかりすると、景色ではなくディスプレイばかり見る旅になってしまいかねないので、気をつけなければ。
急に晴れて暑くなってきた。この近くに旧ソヴィエト時代からの老舗デパート"MUM"があるので行ってみたが、ここでもチームシャツはなし。バクー土産は地下鉄の入場券だけになるかも…
さて、晴れたので午前中に通った第一次石油ブーム時代の建物群に行ってみることにした。と、ふと左手を見るとイスラーム様式のタイル装飾が施された人物像群を壁に飾った
がある。なかなかに美しい。第一次石油ブーム時代の建物群も夕陽に照らされて絶好の撮影タイミングだった。(・・・)
18:00になったので夕食を摂ることにし、LPより噴水広場近くの2店を候補としたが、うち1店は改装中?だったので、"Port Restaurant"に入り、Kharcho, Dolma in grape leef, Baked apple, アイスティーを注文。Kharchoは、米や肉が入ったグルジア風の辛目のスープで、ちょっと刺激が欲しくなった体には美味い。Dolmaは、一口サイズの肉団子を葡萄の葉で包んでオリーブオイルなどのソースをかけたもので、ちょっとしつこかった。計AZN8を支払った。18:50に店を出て、地下鉄を使って19:40にホテルに戻った。やはりGenclik駅からの歩きがきつい。
明日は、21:00にホテルにガイドさんがやってきて、23:30発のフライトでトビリシに向かうという、なかなかにきつい日程である。11:00までにチェックアウトしなければならないので、午後は部屋も使えない。ただ、今日でバクーで観たかったところにはほぼ行ったので、朝は遅めに起きて、LPのWalking Tourプランに沿って街を歩こうと思う。マクドナルドで休むのも一案だ。
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