07:00(ここからアルメニア時間;時計が1時間進む)に、乗務員の女性に起こされた。歯を磨きに行くが、洗面所の蛇口が壊れていて水が出なかった。車窓からは、朝焼けの
定刻より約40分遅れの08:00にエレヴァン駅に到着。この程度の遅れで済んだ、というべきである。事前にはいろいろ心配していたが、入国審査もスムーズだったし、十分に快適に過ごせたし、満足出来る旅だった。記念に
11:00に外出。このホテルは街の中心から外れていて、地下鉄の駅も近くにはないので不便このうえない。そのうえ、エレベーターは4人も乗ると重量オーバーだし、部屋でインターネットも使えないし、フロントで両替も出来ない… プールが使えてもなぁ…
LPの地図を頼りに街の中心を目指して歩く。大きな建物が続き、なかなかに距離がある。ただ、バクーやトビリシと比べると『ヨーロッパ』の色合いが濃い街という印象だ。そして、やはり
マルシルートカの出発点とされていたところに着くが、停留所の標識もないので、そのまましばし待つ。と、男性から『エチミアジンに行くならそこのタクシーに乗れ。3人乗車で1人当たりAMD300だ。』と身振りで言われた。信用してよいものか逡巡していると、流暢な英語を話す男性が『私もエチミアジンに行くところだから一緒に乗ろう。問題ないよ。』とのことだったので、もう1人の男性とも相乗りで乗ることにした。てっきりイギリス人かと思ったら、ロンドンに16年在住しているアルメニア人とのことで、休暇でエレヴァンに来ているのだそうな。
道路沿いには、いかにもソヴィエトな団地が点在している。やはり赤い花崗岩で造られているのが今までと違うところか。
20分ほどでエチミアジンに着いた。AMD1,000を運転手に渡すと、ちゃんとAMD700の釣りをくれた。こういうシステムが確立されているらしい。件の男性が、エチミアジンの見どころである大聖堂まで連れて行ってくれた。(もっとも、迷いようがない道ではあったが。) アルメニア正教の総本山で、約2,000年前までにさかのぼる歴史ある教会である。
『君の写真を撮るよ』といわれたのでカメラを渡したところ、受け取り損なって落としてしまった! そのまま撮影は出来たが、さて電源を切るとレンズの蓋が閉じない。もう一度電源を入れてもレンズが出てこなくなってしまった。電池を入れ替えたりしても回復せず、疑いようもなく故障である。とても気に入っていたカメラだったのだが、古いカメラでもあり、果たして修理できるか心もとない。それにしても、やはり自分の写真なんか残そうとするのではなかった… 旅行の最終盤(観光は今日が最終日)だったのがせめてもの救いか。今日の撮影はスマートフォンのカメラで代行することとする。先ほどの男性が『好きなように観てまわるといい。私もここに戻ってくる。』というので、いったん大聖堂の入り口で別れた。
エチミアジンの大聖堂は4世紀頃までさかのぼれる歴史ある建物である。大聖堂の内部は、カトリックともロシア正教ともグルジア正教とも異なる装飾で彩られているが、何がどう違うのか、言葉にするのは難しい。ただ、同じとはいえない、ということが分かるくらいか。そして、最大の見どころは奥にある宝物室である。教会の外にある土産物店のようなところでAMD1,500を支払ってチケットを購入し、宝物室に入った。
内部には、宝石や金銀で装飾された古い十字架や書物、王冠、杓杖などが展示されている。そして(個人的に)最大の目玉は、キリストを刺した槍の穂先(つまり『ロンギヌスの槍』!)である。菱形をした錆びた小さなもので、決して螺旋構造から穂先が二股に分かれていたりもしていないし、空母で運ぶような巨大なものでもない。朝のガイドさんによれば、これが本物ということなのだが… 決して豪華なものではないが、しばし見入ってしまった。(
昨夜から固形物を食べていないので空腹だが、消化器系に自信を持てない状態なので、カフェが多いというオペラ座周辺を目指して歩き始める。Mesrop Mashtots通りはエレヴァンの目抜き通りの一つらしく、店も人通りも多い。(
ぜひとも地下鉄に乗ってみたかったので、もう一つの見どころである共和国広場に行くために、15分ほど歩いて
もう一つの目抜き通りであるAbovysan通りを行く。土産物店などが多い賑やかな通りだ。さらに、新しく建設された
共和国広場に着くと既に陽が傾き始めていた。今回の旅も間もなく終わりを迎える(はず)。旅の終わりはどうしても感傷的になる。(
19:00になっているので、ホテルに戻ることとする。LPの地図にしたがって歩くが、やはり距離がある。20分ほども歩いて、ようやくホテル側のParonyan通りに出た。夕陽と、はるかに見えるアララト山のコントラストが美しい。この景色がエレヴァン最大の見どころだろう。19:30にホテルに戻った。(
明日は、いよいよ帰国のための移動日である。13:30にガイドさんがやってきて空港まで送ってくれ、15:55発のSU194でモスクワへ、さらに20:00発のSU575で成田へ戻る予定である。毎年思うことであるが、まだまだ旅を続けたいものの、帰国の予定となっている以上は、恙無く帰宅できることを願う。