The Galilee

 06:15起床。今日はガリラヤ湖畔のティベリヤに移動する。チェックアウトのための荷造りを整えて、06:30に朝食を摂り、07:00にチェックアウト。LRTでセントラルバスステーションに行く。3日前に調べたとおり、3階の20番乗り場がティベリヤ行きの出発するプラットフォームであることを確かめて並ぶ。ここにも兵士が何名かいるが、大きな銃とスマホが何ともちぐはぐ。任務中なのか、それとも非番なのか? バスが来たので乗り込む。やはり座席は自由席だ。08:00に出発。さらばエルサレム!
 すぐに高速道路に入った。起伏のある風景が続く。荒れた感じはせず、国土をよく利用しているという印象だ。時々街が現れたりしてなかなかに面白い。(


 09:40に、比較的大きな街のバスターミナルに入った。地名の表示が読めなかったので何処だか分からなかったが、ここで1/3ほどの乗客が降りた。5分ほどして出発。またも起伏のある地形を進んでいく。(

 やがて左手に
水面
が見えてきた。恐らくガリラヤ湖だろう。徐々に家並みが増えていき、ティベリヤが近づいていることが分かる。ガリラヤ湖は非常に低いところ(標高は海抜マイナス約200m, 死海に次いで世界で2番目に低い)にあるためか、降り坂が平らになる気配がない。予約したホテルがバスターミナルから2kmくらい離れているので、ホテルまでの道のりが心配になってきた。
 10:40にティベリヤのバスターミナルに到着。結局、ぎりぎりまで降り坂だった。天気は快晴、ただし非常に蒸し暑い。恐らく35℃を超えているだろう。


 タクシーを使うか迷ったが、結局歩いてみることを選択する。ひたすらに登る。きつい登り坂だ。起伏を考慮しないで予約したのは失敗だった。といっても、バスターミナル近くの平地にあるホテルはとんでもなく高いのだが… しかも、途中で旅行カバンの車輪の片方が壊れてしまった! まだ片方が動いているが、さらに負担が大きくなる。13年もの間、旅のおともになってくれたこのカバンもいよいよ寿命かな…
 30分も登り続けて、ようやく本日の宿である"Hotel Astoria"にチェックイン。まだ部屋の準備が出来ていないとかで、ロビーで30分ほど待たされた。汗の止まる気配もない。部屋に入ってみると、宿泊料金で予想していたレベルを良くも悪くも裏切らない。日焼け止めを塗りなおして、12時に外出。坂を降りながらガリラヤ湖を見はるかす景色はいいものだ。(



 いったんバスターミナルに戻り、建物内の

マクドナルド
で昼食。コシェルなのでチーズバーガーがない。Charcoal McRoyalのセットを注文、39NISを支払った。バーガーが日本のものの1.5倍以上はあるようなサイズで味もよく、十分に満腹。クーラーが効いているのも有り難かった。
 さて、ここティベリヤは、ガリラヤ湖観光の拠点となる街である。そして、ガリラヤ湖は、古くはユダヤ教の聖地であり、特にキリスト教にとっては、イエスが教えを広め、奇蹟を行ったり『山上の垂訓』を示したりといった、非常に重要な土地である。今回の旅では、ティベリヤから少し離れたタブハにある、キリスト教の歴史に関わるいくつかの教会を訪れる計画である。タブハに行くには、バスターミナルからバスに乗る必要があるのだが、そのバスがなかなか来ない。このターミナルにはインフォメーションもなく、立っていたEgged Busの係員にタブハに行けるバスの番号と乗り場を確認するが、ここから出発することに間違いはないようだ。30分も待っていると、係員が『このバスだよ。』と教えてくれた。運転手にもタブハに行くことを確かめ、14NISを支払って乗った。


 ガリラヤ湖畔を縫うように走っていく。右手にガリラヤ湖が水を湛え、素晴らしい景色だ。(

) 20分ほど走ると、人里離れたところにぽつんとある
バス停
に停まった。運転手と乗客が『ここがタブハだ。』と教えてくれたので下車。バス停から、LPの記述どおりに横道を降る。とにかく暑い! 湖から強い風が吹いてくるが、熱風となっていて肌を灼くようだ。歩いている人などいないし、人家もない。後ろから来た車がクラクションを鳴らすので振り返ってみると、運転していたおっさんが親指を立てて微笑んでくれた。応援してくれたのか、それとも、おちょくられたのか…? 善意に解釈することにしよう。


 5分ほど歩くと、修道院が見えてきたので入ってみる。ここが『パンの奇蹟の教会』だった。イエスが2匹の魚と5切れのパンで数千人の空腹を満たしたという奇蹟を記念した教会で、

パンと魚のモザイク
で有名である。もっとも、モザイクのある主祭壇に近づくことは出来なかった。
 『山上の垂訓教会』を目指し、道路の反対側にある野道を登る。てっきり近道かと思ったが、かなりきつい登りだ。湖からの風が追い風となるのがまだしも救いではある。登りきっても、教会ははるか先にある。ひたすら歩く。振り返ってみると、湖を見晴らす景色が本当に素晴らしい。イエスやその弟子たちも同じような景色を観たのだろうか。しかし、暑い… 風に当たると汗が消えるものだが、ここでは風に当たれば当たるほどますます汗が出てくる。(

 20分も歩いて、ようやく
山上の垂訓教会
に着いた。ここは、『幸いなるかな、心の貧しい人、…』で始まる山上の垂訓が与えられたところとされており、この垂訓がキリスト教の精神の根幹、らしい。教会そのものは比較的に新しく、
祭壇
にもこれという装飾はないが、窓にラテン語らしき言語で書かれているのが、恐らく山上の垂訓であろう。ついでに、イスラエルのキリスト教関連の史跡をキリスト教の視点から紹介する日本語のパンフレットをUSD1で買った。今回の旅を改めて振り返る際に手がかりとなるだろう。周りの
庭園
で咲く花が美しい


 来た道を戻っていく。(

) 何度書いても書き足りないほどに暑い。しかも向かい風で、その中を降っていくのはかなりつらい。ガリラヤ湖の景色がなかったら心が挫けそうだ。近道かと思ったが、そうでもなかったかも。
 15時過ぎに、降りたバス停の反対側にあるバス停に着いた。多分、ここからティベリヤ行きのバスが出るはず。しかし、やはりバスが来ない。先客のイスラエルの若者2人組は、さかんにヒッチハイクを試みるが誰も停まってくれない。後から来た女性3人組は、女性の運転する車を上手くヒッチハイクしあっさりと去ってしまった。ヒッチハイクはやったこともないので、ひたすらバス待ちを決め込む。
 20分ほど待っていると、タクシーが停まった。バスターミナルまで1人当たり10NISで乗せてくれるという! バスよりも安いとは有り難い、と即決。しかし、若者2人組はそれでもヒッチハイクに賭けるらしい。私1人なので30NIS…といわれるかと思ったが、そんなこともなく、10NISを支払った。途中、女性を追加で乗せていた。なるほど、バスの便数が少ない合間を縫って相乗りで稼いでいるのか。15分ほどでバスターミナルに戻る。本当に幸運だった。


 汗だくで喉も渇き切っているので、マクドナルドに再度入り、ダイエットコークのLサイズを注文。バケツと見紛うサイズだが、全部飲み干してしまった。そのまま16:40まで休む。ティベリヤには温泉もあるのだが、さらに片道2kmを歩いて温泉に入る気力はもはや残っていなかった。
 湖畔まで歩き、湖畔のプロムナードを歩く。この街はウォーターリゾートの拠点でもあり、泳ぐ人、釣りをする人、舟遊びをする人など、ウォーターレジャーを楽しむ人たちがたくさん。ヤルタでみたような光景だ。誰も彼も楽しそう。そういえば、この街ではアラブ人もアラビア語もほとんど見かけないし、兵士の姿もない。ユダヤ人の街ということなのだろうか。歴史に想いをはせつつ、ガリラヤ湖の夕景をじっくりと眺める。(



 さて、この街の食事といえば、名物であるセントピーターズ・フィッシュであろう。聖ペテロが釣り上げた折に銀貨を銜えていたという謂れのある魚である。LPに"overpriced"と書かれてはいたが、湖畔のテラスでこの魚を食べるという誘惑に抗し難く、"Galei Gil"で夕食を摂る。

セントピーターズ・フィッシュ
はグリルしてもらったが、良くも悪くもクセや臭みのない上品な白身魚で、正直に言ってろくに味がしないうえに、骨が多くて少々食べづらい。まぁ名物になんとやら。炭酸水とデザートで計126NIS, 別にチップ8NIS(少なかったらしく嫌な顔をしていた)を支払った。確かに高いですわ…


 ホテルまでの道を再び登る。

ガリラヤ湖
の美しさは何度見ても飽きない。歩く道のりは本当にきつかったが、それだけの価値のあるところだった。19時にホテルに戻る。明日のバスターミナルまでの降りが思いやられる…
 明日は、今回の旅行における最後の移動で、午前中にテルアビブに移動する。そして明日は金曜日、夕方には恐るべきシャバットが始まる…

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