夜中に目が覚めつつも、0800までぐだぐだして起床。朝食を摂りにいくと、レストランが中国人と韓国人の観光客で埋め尽くされていて、なかなか空いているところが見つからない。ようやくイラン人夫婦に相席させてもらうことが出来た。ごく普通の朝食だが、種類がたくさんあるので好みと腹具合に応じて選ぶことが出来るのが好い。0900に外出、フロントも中国人で埋め尽くされている。これから観光バスで出かけるらしい。
まずはパルチザンスカヤ駅で、チャージのできるICカード乗車券"Troika Card"を買おうとしたが、KACCAのおばちゃんはロシア語でなにやらまくし立てるばかりで、一向に埒が明かない。諦めて10回券を300Pで購入。8年ぶりのモスクワの地下鉄は、乗車券もタッチ式になっていた。さて、モスクワの地下鉄といえば装飾で有名だが、この駅は、その名の通りパルチザンをテーマにしているので、銃だのナイフだの手榴弾だのをモチーフにした美しい装飾が目を引く。撮影禁止なのが惜しい。
明日の列車での移動に備えて、まずはレニングラード駅までの乗換えの感覚を掴むことにする。クルスカヤ駅で乗り換えて、最寄りのコムソモリスカヤ駅まで約30分。地上に出てから少々迷ったが無事にレニングラード駅を把握。荷物検査があるため入れなかったが、内部はリニューアルされているようで、早目に行っても安心できそうだ。ホテルから駅まで、約1時間を見ておけばよいだろう。
まずは、これまで行ったことのなかったトレチャコフ美術館を訪れるためにトレチャコフスカヤ駅へ。駅から美術館までの道筋の
が美しくリニューアルされているのが印象的だった。約10分ほどでへ。ここにも中国人観光客がたくさんいる。地下鉄には全くいなかったので、バスで集団移動しているのだろうなぁ。400Pを支払い入館する。ここは、ロシア美術の最高峰といわれる美術館で、must seeといわれつつもこれまで観たことがなかったのである。
…とはいっても、正直よく分からない。肖像画がやたらたくさんあるが、ロシア絵画と他の西洋絵画の違いもよく分からないまま、いろいろと観ていく。お目当ては『見知らぬ女』の絵。菓子等のパッケージにもよく使われ、これだけは強い印象を持っていた。毛皮の質感や紺の色合い、どことなく艶っぽい眼差し、これだけでここに来てよかった。最後はロシア各地から集められたイコンのコレクションだが、これだけ一気に見せられると、どれもこれも同じようにに見えてしまう、というのが正直な感想ではある。
1130に美術館を出て、赤の広場に向かう。風が少し冷たく感じる。長袖を着ていてちょうどいいくらいだ。公園も建物も、8年前よりもずっと綺麗になったように感じる。美しい街になったなぁ。(・) ただ、建物が大きいせいか、他の街を歩くよりも距離が長く感じる。川沿いの通りに出ると、懐かしい。橋を越えて、ようやくへ。この右手に、15年前の初のモスクワ滞在で泊まった(そしていろいろトラブった)『ホテル・ロシア』があったのだが、今は取り壊されて工事中。
さて、の美しさは相変わらずだ。ばらばらなようで、どこか統一感がある。どうしてこういうデザインになったのだろうなぁ。左手にはクレムリンの壁、そして。このてっぺんの赤い星がソヴィエトのシンボルだった。そして、へ。変わらず、いろいろな人が笑顔で行き交っている。まさしく『美しい広場』だ。明日また訪れるつもりなので、そのままマネージ広場へ、そして地下の『アホートヌィ・リャト』のフードコートへ。ブリヌイを出すロシア料理店も健在だった。お勧めのブリヌイとペプシコーラ0.5Lで180Pを支払った。ハムやピクルスをチーズで絡めたものが具になっていて美味しかった。
さて、いつ雨が降り出してもおかしくない空模様なので、雨が降ると閉じてしまうオスタンキノ宮殿の観光は諦め、代わりに『トルストイの家博物館』を観光することにし、パールク・クリトゥルールィ駅へ。そこから20分ほども歩いて、ようやく
に着いた。ここは、トルストイ一家が実際に住んでいた家を当時のままに保存している博物館で、庭もヤースナヤ・ポリャーナを髣髴とさせる美しいものだということだ。撮影料込みで550Pを支払った。
家の中は、ダイニングルーム・ベッドルーム・子ども部屋などが当時の調度品をもとに再現されており、当時のロシアの上流社会を味わうことが出来る。といっても、トルストイを読んだこともないのだけれど… 静かで品があり、それでいて生活感も漂い、ここは好いところだ。家の中の見学を終えて庭へ出る。ごく小さな庭だが、木々と草花が上手に配されて森のようになっていて、心地の好いところだった。(・・・)
これまでにモスクワで訪れたところのうち、最も好きなところの一つ、コローメンスコエを訪れてみることにした。コローメンスカヤ駅へ向かう途上、メトロが地上に出るところがある。以前は廃棄された工場ばかりだったが、いまやオフィスビルなどが立ち並んでいる。こんなところにも変化が見られる。コローメンスカヤ駅から出ると、アンデス風のバンドが演奏している。8年前も演奏していた記憶がある。公園を抜けて、
から入るのだが、ふと思いついて15分ほどの電気自動車のツアーのチケットを100Pで買ってみた。コローメンスコエを一回りしてくれるのかな、と思ったのだが…
昔の宮殿の門を潜るのではなく、右手にどんどん進んでいく。ここも公園の一部らしい。15分ほど走ると、大きな木造の建物が見えてきた。こんな建物があったとは知らなかった。この建物でツアーは終わりということらしく、降ろされてしまった。案内を見ると、昔のツァーリの宮殿をここに再建したのだそうな。(・) 2010年に公開されたらしいので、知らないわけだ。こんな大きな建物が木造とは、驚くばかりだ。ロシアの木造建築も面白い。(というわけで、今回はキジ島を訪れるのだが。) さすがに疲れたので、中には入らず、元の方向へ戻ろうと歩き始めた。
…が、とにかく広いうえに道が曲がりくねっているので方向感覚を喪う。途中、小さな墓地に囲まれたがあった。右手には下り坂があるのだが、そちらを選ばずに40分ほども歩くと、なんと先ほどの宮殿に戻ってしまった。結局、先ほどの電気自動車のチケットを100Pで再び買い、元のところへ戻ることにした。ま、あんな宮殿を外から見られただけでも好かった。
改めて、昔訪れたコローメンスコエを行ってみる。左手にあるは、青く星の飾りのついたネギ坊主が美しい。を潜ると、。8年前は修復中でがっかりしたことを覚えている。15年ぶりの再会というわけだ。
17時を過ぎ、まだまだ明るいものの、私の旅行のルールではそろそろ夕食を考える頃だ。グム百貨店3階の『スタローバヤNo.57』に行くことにし、メトロでテアトリナヤ駅へ。寄り道をして、
の前に出る。ここも工事が完了し、美しい威容を誇っている。8月はバレエもオペラもコンサートも休みなのが残念だ。地下道を通って、マネージ広場へ。モスクワの地下道では、パンや女性用下着などいろいろ売られているのも相変わらずだ。少しずつ、モスクワ歩きの感覚が戻ってきたような気がする。キリル文字も読めるようになってきた。この、旅の初日に旅の感覚が戻ってくるのがいつも嬉しく、また、心強い。
『アホートヌィ・リャト』で土産を買い、赤の広場へ出て、グム百貨店へ。120周年とのことだが、もすっかり華やかになっている。15年前はなーんにもなかったのだが。
『スタローバヤNo.57』は、自分で料理を選んでいくカフェテリヤ方式のレストランだ。キエフ風チキンカツにマッシュポテトとカーシャ(蕎麦の実の粥)、サラダ、卵とホウレン草のピロシキ、ケーキにコーヒーで550Pとは、モスクワの食事としては安いほうだろう。味も悪くない。一品あたりの量が少ないので、これだけ注文しても余ることはなかった。
グムを出てプロシャーチ・レヴァリューツィ駅へ向かう。このあたりの建物も昔の姿を再現し、本当に美しい。(・) 黄色や紫、ペパーミントなど、壁が華やかだ。モスクワは本当に美しい街になったようだ。わけもなく嬉しくなる。プロシャーチ・レヴァリューツィ駅からは20分ほどでパルチザンスカヤ駅へ。地上に出ると予想外の大雨。今日のモスクワは目まぐるしく天気が変わる。水を調達し、1930に部屋に戻った。
明日は、モスクワ中心部を散策した後に、寝台列車でペトロザヴォーツクへ向かう。2030に列車が出るので、1930にレニングラード駅に到着できるよう、早めの行動が必要だ。少し体が冷えたような気がするので、念のため、バスタブに湯を張って温まり、風邪薬を飲んでおくことにする。
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