0700に起床。予想以上に快適に眠れた。なぜか、出発時と逆の方向に走っているのが不思議ではある。0750に頼んでいた朝食が届いた。(なお、同室のおっさんは昨夜夕食を摂っていた。)オートミールのポリッジは温かく、甘めの味付けで悪くない。コーヒーを別に頼み(60P)、十分に満足。
着替えて到着の準備を進める。定刻通り、0900に
に到着。小さな駅で、ここでは夜に長い間待つのは得策ではないかもしれない。駅舎から出ると、何台かバスが泊まっている。どうやら、各ホテルへの送迎らしい。宿泊予定の『ホテル・カレリア』行きもあったのは幸運だった。0915に出発。駅前の通りを10分も行くとオネガ湖畔に出るが、駅から湖まで緩やかに降っているので、駅へ歩くのはつらいだろう。15分ほどでに到着。
バックパックから不要な荷物を取り出してスーツケースに収め、クロークに預けておく。さて、このホテルとのメイルでキジ島への船便のチケットを予約していたのだが、フロントに訊いてみたところちゃんと予約されていた! 2,300P(往復分)を支払いチケットを入手。1130出発、1545にキジ島を出て、1700にペトロザヴォーツクに戻る(キジ島行きの船便のチケットは、全て帰路の船便の時刻も指定されている)。これで、長年の夢だったキジ島に行けることが確定した。
ホテルを出て、船の出る港へ行く。港には、船のチケットの売り場の他には、小さな土産物店とカフェ、人気のない遊園地と公園が広がるばかり。トイレが見当たらないのには困った。(
・・・)
1110に開始。大手旅行代理店の日本人ツアー客の方々も同じ船だ。1130に出発。列車から持ってきたパン2切れを昼食代わりに摂る。オネガ湖には多くの島があるようだ。1時間ほど行くと、前方に長年夢見てきた教会の姿が見えてきた。1245に到着、キジ島に降り立つ。
キジ島は、付近の島々から様々な木造建築物を移築し、島全体を景観保存区としている。いわば、島全体が博物館となっている、島の入り口では、入島料として625Pが徴収される。『蛇が出るから道から外れて歩かないでください。』との注意を受けた。今日は島の南側の主要な建物を観るつもりで、そちらに向けて歩き始める。
5分ほども歩くと、黒い炎のようにもみえる、
が見えてくる。こんなに高い建物だったとは思わなかった。周囲には金属製の梯子等がかかり、建物の下部は取り払われている。ようやく、修復が始まったのだ。しかし、上部の玉ねぎのようなドーム群は未着手で、昔のままのようだ。18世紀に建てられて以来、老朽化が激しいとのことだったが、修復が始まったのは嬉しいことだ。この建物は、釘を1本も使わず、木々の組み合わせだけで構成されているとか。左手に道をとり、陽射しの角度を変えると、屋根が銀色に光り始める。隣のポクロフスカヤ教会、鐘楼と、見事な調和だ。周囲に人はおらず、鳥のさえずりと湖面の波音、風の音。月並みな表現だが、時の流れを忘れる。ポクロフスカヤ教会の内部には、イコンがたくさんある。木造の教会にこそイコンは相応しいように思えた。(・・・・)
さらに南にいくと、などの建物が点在している。中でも、は、現存するロシアで最古の木造建築(14世紀頃)らしい。草むらと木造の建築と教会、ロシアの原風景だろう。時々、ミハイル礼拝所から、ロシア正教らしい美しい鐘が演奏されるのだが、これがさらに効果を高める。素晴らしいところだ。長年夢見てきて、ここまでやってきて、本当に好かった。プレオブラジェーンスカヤ教会には、空よりも大地こそが似合うような気がする。やはり、ロシアの風景は『大地』なのだろう。
島の北部には、今も人が住む村などが点在しているらしいのだが、そちらは明日歩いてみる予定なので、今日はひたすらベンチに座り、風に吹かれながら、ただただぼーっと眺め続けた。(・・・)
1510になったので、船着場への道を戻り始める。1530に乗船開始、1545にキジ島を離れた。帰路はほとんどの乗客が眠っている。私も例外ではない。1700にペトロザヴォーツクに戻った。
そのまま夕食を摂ることにし、
を辿る。湖からの風がひんやりと心地好い。そういえば、昨年のガリラヤ湖は蒸し暑かったなぁ… 15分ほど歩くと、街の中心のレーニン通りへ出たので、駅の方角へ歩き始める。(・) 特にリゾートというわけでもなく、ごく普通の街という印象。モスクワでも見かけたが、寿司屋さんが何軒かある。試してみたいが、旅の途中で生の魚を口にするのも少々怖い。近代的なもあり、マクドナルドまである。しかし、今日の夕食は、カレリア料理を出すというに決めていた。店の中は民家風になっていて、いかにも観光客が好みそうな雰囲気。価格も観光客向けだ。兎肉のビートのスープ・カレリアの休日のシチュー・カレリア風ケーキに、林檎のクヴァスを注文。クヴァスは、ヤルタ以来だったので懐かしさで注文したのだが、アルコールが強めで酔ってしまった。スープは、いわゆるボルシチに近いのだが、サワークリームを使わないのであっさり風味。カレリアの休日のシチューは、肉や玉ねぎをベースに野菜などを使ったもので、何となく『オニオングラタンの乗らないオニオングランスープ』のような味わい。どちらも美味しかった。ケーキはごく普通のベリーのケーキ。計1,150Pは、やはり観光客向けだろうが、美味しかったので満足。
ホテルへ戻る道を辿ると、
があった。この街ではまだ現役なのか。ようやく水を売っている店を見つけたので計1.5L分を買い、1920にホテルに戻りチェックイン。とにかくシャワーを浴び、2日分の日記を書いている。ホテルの部屋も、昨年のガリラヤ湖のホテルを髣髴とさせる。
明日は、再びキジ島を訪れ、2250発の寝台列車でサンクトペテルブルクへ向かう。この列車に合わせて、ホテルが駅までのトランスファーを運行しているらしいので、出発時刻と待ち合わせ場所を確認しておこう。ところで、現在2230だが、太陽こそ沈んだものの、まだ薄暮といった明るさである。ずいぶん北にいるのだなぁ。
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