Minsk

 07:00起床。よく眠れた。08:00に朝食を摂りに行く。これまでの毎年の旅でも味わってきた、ハムだのソーセージだのサラミだのが並んでいる、あの朝食に今年も再会出来た。わけもなく嬉しい。昨夜は夕食を摂れなかったので、フルーツ類も含めて少し多めに食べておく。いったん部屋に戻り、身支度を整えて、08:30に観光を開始。まず、昨夜は開いていなかった両替所で、GBP15とEUR20を535,500ベラルーシ・ルーブル(以下BYR)に換えた。とんでもない札束持ちになるが、計算してみると、概ねBYR100=1円なので、下2つを切れば日本円になるというのは意外に分かり易い。これで今日1日足りるのかどうかは全く分からないが。
 ところで、日本円が両替できないのは仕方ないとしても、人民元が両替できるようになっているのはけっこう悔しいものがある。


 ホテルを出て、前の大通りを北上する。左手に大きなビル群、右手には(人工的な景観の)公園という、いかにも社会主義国な風景。左手のビルの屋上には

『英雄都市ミンスク』
と掲げられている。いきなり期待以上の
光景
だ。
 交差点の向こう側には、英雄都市記念碑が聳えている。(
) 近づいてみると、とても広く、高い。すぐ近くにあるかと見えて、意外に歩かなければならない。今日1日、恐らく何度もこんな経験をすることだろう。記念碑の周囲には、大祖国戦争を描いた写実的な彫刻。これも、ロシアなどで何度も見たものだ。(
)右手にある建物は、昨夜のドライバーさんが教えてくれた、先月開館した戦争記念館だろうか。なんと、ソヴィエトの国旗が誇らしくはためいている!
 記念碑を後にして交差点を戻り公園側へ。ベラルーシの国章を掲げた大きな
看板
がある。公園の左には川が流れている。その向こうにも、モスクワのどこかで見たような
ビル
。通りの反対側を見れば、同じ形のビルが並び、壁には何かのスローガン。(
4
) この国、予想以上に『現役』だ。
スポーツ宮殿
もいい味わい。わくわくする自分が少し哀しい。


 15分ほどで、地下鉄のニャミーガ駅へ。道路を挟んだ丘の上に聖霊大聖堂があるが、今は逆光なので後ほど訪れることとし、橋を渡って川の向こうへ。この一角だけ、周囲とは明らかに異なる様子の家並みがある。ここは、トラエツカヤ旧市街区という、戦前の街並みを再現したところだ。多くがレストランや土産物屋、アートショップなど観光客向けの商売をしているようだが、まだどこも開いていないし、工事中の箇所が多くまともに歩けない。本来ならば街並みの大部分をこのように昔のままに再建すべきだったのかもしれないが、今となっては、ここのほうがテーマパークのような気さえする。(


 ニャミーガ駅へ戻り、地下鉄に乗る。今年も旧ソヴィエトの地下鉄に逢えました。ここでは、まだジェトンというプラスチックコインが主流のようだ。BYR3,700でジェトンを1枚買い(自販機などはなく、必ず窓口から買う)、改札に投入して、エスカレーターで地下へ。もっとも、さほど深くはなく、すぐにプラットフォームに着く。内装はさほど派手ではないが、社会主義リアリズムの装飾が機能的な設計を飾るのはここも同じ。車輌もこれまでに何回もお世話になったものだ。ここミンスクでも、地下鉄構内では撮影禁止なのは同じで、残念な限りである。1駅先のクパラウスカヤ駅でもう1つの路線のカストゥリチニツカヤ駅に行き、さらに1駅先のプローシチャ・レーニナ駅で下車。地下の商店で水0.5L1本でBYR10,800を支払った。意外に高い。


 地上に出ると、いきなり無機的なビルに囲まれた大きな広場。そして、現役のレーニン像。ここがネザレージナスツィ広場である。ソヴィエト連邦が既に解体されていることがとても信じられないような光景ではある。(

) レーニン像の背後にあるビルは政府機関のビルで、左手にあるのは
大学のビル
らしい。大学のビルには、何度か見かけた、正教をモチーフにした、ミンスクの新しい
市章のようなもの
が掲げられている。ここでも正教が着実に復活しているのだろう。
 ネザレージナスツィ広場の地下にはショッピングセンターがある。残念ながら、ミンスクのチームのグッズを売っているスポーツ用品店、お土産調達用の菓子店、フードコートのいずれもなかったが、トイレがあったので利用料BYR5,000を支払い使わせてもらう。これも欧州諸国並みの相場だ。
 無機質な政府機関のビルの横には、赤い煉瓦の
聖シモン・聖エレナ教会
がある。中では、何人かの人が熱心に祈っていた。教会の前には
噴水
。近づくと水しぶきが心地好い。


 ネザレージナスツィ広場から、ネザレージナスツィ通りを歩く。この通りがミンスク一の目抜き通りということらしい。さほど高くない代わりにやたらと床面積の大きなビルが、高さを揃えて続いていく。もちろん装飾の多くは社会主義をモチーフとしたもの。1階には店などもオープンしているのだが、モスクワなどと違い音楽を流すでもなく、人通りも少なく、車輌の走る音と風の音のみが耳に届き、なんとなく非現実的な感覚を覚える。陽射しも強く、気温も30度くらいはありそうだが、空気が乾いていて風もあるので、さほどの暑さは感じられないのが有り難い。写真を撮りつつ、ひたすらに歩いていく。(


 途中の銅像は、かの
ジェルジンスキー
。KGBの創設者として有名であり、『英雄』として扱われている。その近くに百貨店のグムがあったので入ってみたが、ここでも土産に出来そうなものは売っていなかった。ただ、装飾が『素晴らしかった』。何もショッピングセンターをここまでしなくとも…(


 さらに行くと、また大きな広場と印象的な建物に出くわした。ここは十月広場、広場の奥に建っているのは

共和国宮殿
。その右手、何やらスローガンを掲げているのは、
大祖国戦争史国立博物館
。ここでも大祖国戦争だ。
 12時に近くなったので、昼食を摂る場所を考える。ちょうどLPで紹介されていた"Kukhmystr"が近くにあるので、そちらへ行ってみる。十月広場の向かいにある、緑と噴水の心地好い公園を通る。その右手、何やらスローガンを掲げている
T-34の記念碑
の前を行くと看板があった。英語のメニューを見せてもらい、クヴァス・
ドラニキ
アイスクリーム
を注文。クヴァスにアルコールが含まれていることをまた忘れていた… 酔いそうなのでほとんど口をつけずに置く。ドラニキは、ベラルーシ料理の中でも有名なジャガイモのパンケーキで、サワークリームなどを使ったソースをかけ、あつあつの壷の中で供された。ジャガイモというより、ハンバーグのような濃厚な味わいで美味しい。アイスクリームにはドライフルーツがちりばめられ、暑い中を歩き回った身には最高だ。味もサービスも良かったのだが、値段もBYR265,000と安くなかった。安いメニューを選んだつもりだったのだが。この国、もしかすると、えらく物価が高いのでは?


 少々裏通りを散歩してから、再びネザレージナスツィ通りを行く。(

) 
サーカス劇場
が建っている。さらに行くと、またオベリスクを中央に立てた広場がある。ここは勝利広場だ。(
) 広場を囲んで道路が走り、円形に面したビル、屋上にスローガン。もう感涙ものである。(

 さらに、横断するための地下道にも、
追悼の広場
が設けられている。そこから地上に出ると、
オベリスク
の真下まで行くことができる。周囲には、モスクワでも見かけた英雄都市の記念碑。キエフやオデッサの名前もあるが、これらの都市では、いま『英雄都市』をどのように捉えているのだろうか?
 ある程度予想はしていたが、この比較的狭い範囲に、これほど大祖国戦争に関するものを観るとは思わなかった。ここでは、戦争の勝利は大きな記念であり、決して過ぎ去った歴史などではないようだ。


 再び地下鉄に乗る。乗客を見ていると、カードを当てて入場する人がいる。そのカード、ぜひお土産に欲しい。というわけで窓口のおばちゃんに掛け合うが、何やらベラルーシ語でまくし立てられて売ってくれない。昨年のペテルブルクでも、窓口では売ってくれず、自販機で買ったことを思い出す。しかし、ここには自販機はない… プローシチャ・レーニナ駅へ戻る。ここから地上に出て、ミンスク駅のほうへ向かう。この近くに、ディナモ・スタジアムがある。各国の『ディナモ』のグッズを集めているので、ぜひディナモ・ミンスクのシャツも欲しいと思い、あちこち見ていたのだが、一向に売っている気配がない。諦めて、iPhoneでFCディナモ・ミンスクのサイトを見ると、ニャミーガ駅近くのショッピングセンター駅にオフィシャルショップがあるようだ。地下鉄でニャミーガ駅へ戻る。

労働者同志のでかい像をいただいたビル
があるが、これもデパートらしい。件のショッピングセンターへ。
 これまた人気の少ない
ショッピングセンター
だ。これで商売が成り立っているのだろうか? ディナモの店は地下にあるらしいが、なかなか見つからない。ようやく見つけたが、ばあさんが1人で店番をしているだけで、サイトにある写真とはえらく違う。誇大広告もいいところだ。(あまりに衝撃的で、写真を撮るのを忘れた…) まぁ、シャツなどグッズを買えれば文句はない。さて、ここではクレジットカードを使えず、シャツ1枚がBYR240,000以上するので、手持ちの現金が足りない。1階に銀行のカウンターがあるので、EUR30をBYR312,500に換えてもらい、再び店へ戻って、シャツ2枚をBYR485,000で購入。めでたくディナモのコレクションが増えました。


 ニャミーガ通りを歩いてみる。こちらのほうが人通りが多いような気がする。ただ、LPなどには特に情報がないこともあり、早々にネザレージナスツィ通りへ戻った。
 さて、16時を過ぎている。明朝が恐ろしく早いので、17:30には夕食を摂り、18:30には部屋に戻って、荷造りなどを大方終えて21:30には就寝したい。しかし、何より疲れたので、ネザレージナスツィ広場地下のショッピングセンターに戻る。ここなら直射日光を避けて、空調の効いたところで椅子に座って休むことが出来る。(しかも無料で) 休みながら夕食を考えるが、さほど空腹でもないし、地下鉄でカストゥリチニツカヤ駅へ行き、近くのマクドナルドへ。大混雑だが、何とか席を見つけることが出来た。チーズバーガー・フレンチフライ・コーラでBYR37,000を支払った。フレンチフライの塩気と冷えたコーラが染み渡る。
 これでミンスクの観光を手仕舞いすることにし、ニャミーガ駅へ。ここで部屋の中で飲むための水を買うつもりだったのだが、なぜかここの地下街には店がない。地上に出ると、聖霊大聖堂が正教の鐘を鳴らしていた。この街で正教の鐘を聞くことができるとは予想していなかっただけに嬉しい限りだが、車輌の騒音がかき消してしまうのが残念だった。知っていれば、前もって聖堂までの広場で待っていたのだが。
 ホテルへ戻る途上、露天で水0.5Lとコーラ0.5Lを計BYR22,000で買った。しかし、ホテルの隣のビルの1階に店があることに気づき、入ってみると、なかなか好いスーパーマーケットだった。菓子類も置いてあったので、職場用の土産も調達できた。…のはいいのだが、ここは水なども安く、さっき露天で買ったことを少し後悔。予定通り、18:30にホテルへ戻った。まだまだ外は明るい。


 明日は、06:45発のS7 4434便でモスクワへ向かい、さらにS7 157便でキシナウへ向かう。S7 157便のチェックインはネットで出来るのだが、S7 4434便がコードシェア便のためネットでのチェックインが出来ない。片方だけチェックインしてしまい、そのせいでモスクワでいったん入国して荷物を取って再度チェックイン…なんてことになっては面倒なので、両方ともミンスク空港で一度にチェックインすることとする。また、キシナウの空港では、帰国便のトルコ航空のフライトについてリコンファームの要否を確認せねばならない。ネットで見る限りStatusはHK(Confirmed)なのでまず大丈夫とは思うが、2002年のイランの旅の経験がある。荷造りも出来るところまで完了し、この日記も21時に書き終えた。


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