07:00起床。夜から朝にかけては意外に気温が下がるが、今日も昼間は暑くなりそう。今日は、キシナウから約60km北にある、オルヘイ・ヴェッキというところにガイドさんに連れて行ってもらう予定である。ここは渓谷になっており、崖に面した洞窟が古くから利用されてきたが、特に14世紀からの洞窟修道院を観光できるようになっており、『モルドヴァで最も美しいところの一つ』という評判も目にした。一方、公共交通機関が不便なので、こちらもviatorでNatalieさんというガイドさんと連絡を取り手配した。
9時にNatalieさんが来てくれることになっているので、朝食を摂り、身支度を整えて、08:45にロビーに降りて待つ。と、08:50にNatalieさんが来てくれた。今回は、別にドライバーさんがいるので、計3人で出発。
Olegさんと異なり、Natalieさんはあまり話さない。キシナウを離れて高速道路に入る。車窓にはなだらかな丘陵で、畑になっていたり、放牧されているらしい牛や馬が草を食んでいたり。しかし、車は時速100kmを超えるスピードで走っていくので、あまりのんびりと景色を楽しむという風情ではない。40分ほども行くと、高速道路を降りて一般道に入る。この辺りは農村らしい。カラフルな塀や、辻に建っている木製のキリスト像などが、以前観たルーマニアの農村に何処となく似ている。もう少しスピードを落として欲しいが、13時までという予定なので仕方ないのだろう。
やがて、
を見渡す場所に出た。オルヘイ・ヴェッキに近づいたらしい。渓谷を流れる川を挟んで反対側に、崖に面した洞窟と、丘の上の大小2つの教会が見える。小さいほうが古い洞窟修道院で、大きいほうは1992年に建てられた正教の教会だそうな。再び車に乗り、いったん渓谷を降りて、川を渡ると、小さな村に入った。木造の家並みがなかなかに面白いのだが、道路が全く舗装されておらずがたがた。うっかりしゃべると舌を噛みそうだ。扉にいろいろな模様が彫刻されているが、なぜかを彫刻しているのは面白かった。少し走ってようやく車が停まり、ここで降りる。時刻は10時過ぎ、ほぼ1時間ほど走っていたことになる。
ここからは徒歩で丘を昇った。少し昇ると丘の上に出て、左手に小さな教会(正確には教会の鐘楼)がある。(
・) 鐘楼の下に入り口があり、洞窟修道院に入ることが出来る。階段を降りると少し広い空間に出て、老齢の男性修道士がいらっしゃる。現在もここで修行を続けているらしい。右手の間がとなっていて、イコンなどがかけられている。渓谷に面した出入り口や窓から外の光が入ってくるので意外に明るい。左手の奥には壁で仕切られたがある。昔、ここで修道士たちが寝起きをしたのだそうな。崖に面した出入り口から出ると、を見渡すことが出来る。…半ば予想はしていたが、洞窟修道院はこれで全て、らしい。
洞窟修道院を出て、丘の上を大きいほうの教会へ向かった。途中、が建てられていた。十字架に願い事をかけてキスをし、時計回りに3回周って願掛けをするのだそうで、もちろんやってみた。はさすがに真新しい。中に入ってみると何かの儀式の真っ最中。しばし司祭(?)の声に耳を傾けて、教会を後にした。(・・)
丘を降りると、昔の民家と暮らしを再現した小さながあった。昔は、まず2つの間をつくり、大きいほうの部屋は集まりなどに使い、小さいほうの部屋で家族全員が寝起きしたのだそうな。台所、ワインなどの貯蔵庫、鶏小屋が別になっていて、これらが中庭を取り囲むようになっている。服装や生活用具は、ルーマニアのものとも似ているし、なぜかカレリアのものとも似ているような気がした。(・)
いったん車に乗り、村の道を5分ほど戻って、Nataliaさんがを案内してくれた。ここでは現代の村の暮らしを見られるらしい。といっても、全体の造りが大きくなっているだけで、基本的な構造は同じだった。中庭の花が美しい。
お茶を飲みながら、Nataliaさんと少し話す。観光客は年々増えていたが、今年はウクライナ問題で大きく減っているそうな。というのも、モルドヴァのツアーはウクライナとセットで組まれることが多いとのこと。また、本職は空港にお勤めとのことで、明日の帰国便について話したところ、明日予約状況をチェックして、もし座席が良くなかったら変えられるようトライしてくれるそうな。特に、トランジットの時間が短めという事情を話し、前方通路側をお願いした。何か問題があったら連絡を、と、電話番号まで渡してくれた。
お茶を終えたところで、オルヘイ・ヴェッキでの予定は終わり。再び車に乗り、またも時速100km以上でキシナウ目指して戻っていく。陽射しが暖かく、ついうとうとする。気がつくとキシナウに近づいていた。12:40に、中心部のシュテファン・チェル・マレ公園でツアーを終了。残額EUR65に、チップとしてEUR5をつけてEUR70を支払い、車を降りた。正直、あの洞窟修道院だけでは物足りないが、渓谷の風景や郊外の景色、Nataliaさんの親切込みで満足というところかなぁ…
昼食にもいい時間ではあるが、あまり動いていないので空腹でもない。また、夕食としては今日が実質的に最後の機会となるので、早目にきちんとしたものを食べたいので、この近くにある"Tucano Coffee"へ行く。何となくスタバを想像させるところだ。ここもケーキやキッシュを売っているので、ホウレンソウとサーモンのキッシュ・フルーツを乗せた小さめのチーズケーキ・アイスカフェラテを注文。どれも想像以上に美味しかった。無料のwi-fiも使えるし、空調も心地好く、椅子も快適、スタッフの愛想もよく、つい長居をしてしまった。13:45に店を出た。外の暑さが身を灼くようである。
シュテファン・チェル・マレ公園に行ってみた。ここも木立とベンチ、
が心地好い公園だ。入り口にはが建っている。紙幣にも描かれている、モルドヴァの偉人だ。(…ということしか知らない)
さて、実のところ、キシナウでは見どころらしい見どころはない。博物館などがいくつかあるが、別にこの国の歴史に詳しいわけでもないので、見ても理解できないだろう。その中では、ロシアの詩人プーシキンが住んでいた家が博物館になっているというので、20分もかけて歩いて行ってみた。が、なぜか閉館中。汗だくになって行ったのに… 仕方ないので、シュテファン通りまで戻る。
モルドヴァの土産といえば、まずワインがあがるらしい。旧ソヴィエトでも有名で、最近は東京にも扱う店があるらしい。小瓶を買うことが出来れば…と思い、LPに紹介されていた店がある筈の場所に行ってみたが、それらしい店はなし。立て続けに外れである。暑さに耐えられなくなってきたので、またもカフェに行き、まず汗止めにコーラ、そしてホットのカプチーノで一休み。意外なことに、キシナウにはお洒落なカフェが何軒もあり、美味しいコーヒーやケーキを安価に楽しむことが出来る。またもくつろいでしまう。
実質的に最後の夕食となる今日の夕食をきちんと決めるために、TripAdvisorでの評価も高く、Olegさんもお勧めしていた"La Taifas"に行ってみることにした。地下にある店の
は、いかにも観光客が喜びそうな、昔のルーマニア地方を模したものになっているし、店員さんの衣装も伝統的なもの。メインとしてモルドヴァ風のミートボール、それにベリー入りパンケーキと炭酸水を注文した。昔は、前菜・メイン・デザートで注文していたが、いまは食べ切れなくなってしまい、2品に絞ることにしている。また、キシナウ風の鯉のグリルにも強く興味を引かれたが、魚料理で臭みがあった場合には酷いことになるので、外れるリスクの小さい肉料理とした。
は、ほどよく脂の乗ったミートボールを、ニンジンや玉ねぎと一緒にパプリカをベースとした酸味の爽やかなスープに浮かべたもので、肉料理のコクとパプリカの酸味が絶妙なバランス。は、要するにブリヌイだったが、さすがに安い店や昨日の惣菜店と一緒にしては失礼なレベルで、軽い繊細な味だった。MDL240を支払い、大満足で18:30に店を後にした。
今日は、シュテファン大通りの反対側を歩いてホテルへ戻ることにした。昼間の酷暑が消え、爽やかな暖かさの中を歩くのはとても気分の良いものだ。さて、こちら側にも少ないとはいえ店があるのだが、いわゆる土産物店が見当たらない。ミンスクもそうだったが、まだまだ観光客を迎えるということに慣れていないのだろうか。(
・・)
19時にホテルへ戻り、フロントで明日の荷物の預かりと、19時発の空港行きタクシーの手配をお願いする。タクシー料金はMDL65とのことで、MDL100を予想していただけに有り難い。まぁ、蓋を開けてみなければ分からないが。
明日は、いよいよ今年の旅の最終日。21:50発のTK272便でイスタンブールへ向かい、1時間30分のトランジットを経て、01:00発のTK52便で成田へ戻る旅程である。旅を続けたい気持ちはもちろんあるが、戻る予定となっている以上は、滞りなく戻りたい。それまでは、朝も遅めに起きて、キシナウのカフェを巡りながら、夕方にホテルへ戻って帰路のための身支度を整えるつもりである。
ところで、この部屋の空調は、数時間使っていると冷気の吐き出し口から水が流れてくる。恐らく室外への排水が上手くいっていないのだろう。最初は驚いたが、もう慣れた。このように日記を書いていると、水が流れてきて、一定量流れると止まるのである。
明日のTK252便の出発予定時刻の24時間前となる21:50に、まずWebでTK252便のチェックインを完了した。座席はチケット購入時に指定した10Cで、それなりに前方通路側なので少し安心。
続いて、日付が変わって8/2の01:00に、同じくWebでTK52便のチェックインを完了。こちらも前方通路側になっている。これで今日のタスクは完了、寝ます。
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