Kovalam Beach

 まだ夜も明けないというのに、0500頃から、ホテルの外の街で喧しく音楽が鳴り響き、目が覚めてしまった。0545にシヴァさんと待ち合わせ、日の出を見るために歩いて海辺へ行く。道筋には寝ている人がたくさん。公園で牛が寝ていて、その周囲の道路に人が出ているという、なんともいいようのない光景ではある。10分ほど歩いて海辺へ。既に多くの人が出ていて、ちゃっかり物売りも出ている。徐々に明るくなってきて、見事な丸い太陽が水平線から出てきた。朝日の光を浴びるのがこんなに心地好いものとは思わなかった。それにしても、夕陽も朝日も観ることが出来るとは、なんとも幸運に恵まれたことだ。(


 街を散策しながらホテルへ戻る。この辺りは漁師の街らしい。意外にも、カラフルで可愛らしい家並みだったりする。(


 0630にホテルに戻り、いったんシヴァさんと別れる。0730まで休んでいると、フロントから電話で朝食を呼ばれる。地下のレストランへ降りていくと、ビュッフェには何も並んでいない。お客が少ないせいか、強制的にメニューが決まってしまっているようだ。トースト、プレーンオムレツ(薄い)、チャパティに3種のカレーを添えたもの、揚げパンのようなものにカレーを添えたもの、チャイと続く。夕食に比べると数段落ちるものだし、カレー以外のものを食べたかった… 部屋に戻り、支度を整えてチェックアウトし、0845にシヴァさんと再度合流。


 車で船着き場へ行き、そこから船で少し離れた

岩場にある建物
の観光に行く。15分ほど待って船に乗るが、船に乗るだけでごちゃごちゃするのはインドらしいというか。出発して5分ほどで到着した。ここは、ヴィヴェーカーナンダという宗教家(ロシアもそうだが、インドの地名・人名も日本人の発音能力に挑戦するものが多い)がここで瞑想したことを記念した建物なのだそうな。靴を預けて素足になり敷地に入る。ここで瞑想した後にアメリカへ渡り、インドの思想を世界に広めたのだそうな。そのあたりの知識があればもっと理解できるのだろうけど… 瞑想を行える部屋もあり、何だか不思議なお香と、唸り声のような音楽?が流れている不思議な空間だった。
 私のようなインド思想に詳しくない人間にとっては、ここはむしろ『インド亜大陸の最南端』であり『3つの海が交わるところ』というほうが浪漫をかきたてる。ここで、ベンガル湾・インド洋・アラビア海が交わるのだ。ベンガル湾のほうへ行けばアジアへ、アラビア海のほうへ行けば中東へ、インド洋に行けば…何処かに行ける(かもしれない)というのは、旅ごころをくすぐられる。天気も快晴、波は高いが海も美しく、強い風も心地好い。しばし海に見とれる。(

 この隣の岩場には、ティルヴァッルヴァルという、タミルの偉い文学者の
巨大な石像
があり、通常はここを発った船はそちらの岩場にも寄るのだが、今日は波の関係で運行されず、このまま元の港へ戻ることになるのだそうな。靴を返してもらい、15分ほど待って、再び船に乗り、5分ほどで戻った。


 

マハトマ・ガンジー記念堂
を目指して歩いていく。道筋には、貝殻を使った工芸品などの土産物店が多く、この街が観光に依存していることが分かる。もっとも、いまはオフシーズンで、ハイシーズンには大混雑になるのだそうな。マハトマ・ガンジー記念堂は、暗殺されたガンジーの遺灰を安置していたところだ。ガンジーの生涯を綴る何枚かの写真と、ガンジーの遺灰を納めた骨壺を安置していた台が残されている。ここの上からも海をよく見晴らせる。(


 これでカニャクマリの観光を終え、車で今回の旅での最後の滞在地となるコヴァラム・ビーチまで行くこととなる。1110に車に乗り込んだ。約2時間半のドライブは、いくつもの街を過ぎていくなかなかに面白いものだった。また、この道は舗装状態もよく、例によって追い越しなどを除けば、さほど恐怖感のないドライブだった。(


 ところで、ケーララ州では、なぜかソヴィエトのマークを付けた
赤い旗
をよく見かける。この州で強い勢力を持つ政党の旗らしいのだが、南インドに癒しを求めてやってきて、まさかソヴィエトのマークを目にすることになるとは思わなかった。やはり、私はこのマークから逃れられないのだろうか…


 1330に、コヴァラム・ビーチでの宿となる"Soma Palmshore"に到着した。(ドライバーにチップとしてINR300を渡した。) チェックインして荷物を置き、少し休んで、1420にシヴァさんとビーチへ向かった。
 コヴァラム・ビーチは、インドでも最も有名なビーチリゾートの1つで、欧米はじめ世界中から多くの観光客がやってくる。ここで海でも眺めながらのんびりしてみよう、というのが、ここに来た目的の1つである。天気は快晴、かなり蒸し暑い。近くにあった”Beatles Cafe”に入り、チキン・フライドライス1つを注文し、シヴァさんと分けあって食べた。味は悪くなかったし、量もちょうどよかった。
 ビーチを少し歩く。青い空と海、白い雲と砂浜、そして、コヴァラム・ビーチのランドマークともいえる、赤と白の灯台。いかにもビーチリゾート!という感じである。ただ、今はオフシーズンなので、人気は少なく、閉まっている店も多い。海からの風も強く、波しぶきだけでなく、砂も飛んできているような気がする。1530にいったんホテルに戻った。(


 さて、コヴァラム・ビーチに来たもう1つの目的は、インドの伝統的な健康法であるアーユルヴェーダを試すことである。この辺りがアーユルヴェーダの本場らしく、このホテルにもアーユルヴェーダの設備が整っており、医師もいるとのことなので、相談したうえで、不眠症などに効果があるという『シロダーラ』という治療を明日の0900に受けることとした。明日のシヴァさんとの待ち合わせは、それが終わり一休みした後の1200とした。


 さて、この部屋のバルコニーからも

が見える。ベンチもあるので、ここで波の音を聞きながら、暖かく浅い眠りに入る。極楽そのもの。
 1730に三度シヴァさんと待ち合わせ、ビーチに夕陽を見に行った。インド人の家族連れや学校の子どもたちがたくさんいて、波打ち際ではしゃぎ回っている。若いなぁ… 今日の夕陽も見事だったが、水平線近くに雲があって日没は見られなかった。(

 夕食を摂ることにして、近くの”Seashore"レストランへ。
バター・チキン・マサラのGheerice添え
を注文した。(シヴァさんは後で夕食を摂るとのことで、飲み物だけを注文した。) Gheericeは、既に野菜などを混ぜ合わせて軽く炒めてあるようだった。バター・チキン・マサラも美味しかった。チャイとシヴァさんの飲み物を含めて計INR480(別にチップとしてINR10)を支払った。美味しいのだけど、どうしてもEmerald Isleの食事が忘れ難い… 2000にホテルに戻った。


 明日は、今回の旅における観光の最終日である。午前中はアーユルヴェーダを受け、午後も食事と散歩、あとは部屋のベランダなどでぼーっとしていようと思う。リゾートっていいなぁ… 明後日はホテルを0300に発つので、2100には寝ることとしたい。
 ところでこの部屋、中から鍵をかけられないのはいかがなものか…


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