Bukhara

 06:45起床。昨夜の胃の重さは消えてくれた。今日は列車でブハラに向かう日である。08:40に駅まで送ってくれるドライバーが来てくれる約束になっているので、チェックアウトのための身支度を整えて、07:15に朝食を摂る。昨夜の夕食を摂らなかったので少々多めに食べておいた。欧米人の観光客もちょうど出かける時間らしく、ロビーにたむろしている。
 08:10にチェックアウト。観光拠点から少々遠いことを除けばいい宿だった。ドライバーを待っていると、08:15に来てくれた。早めに駅に到着しておいたほうがいいので有り難い。そのまま乗り、駅までの道を行く。こうしてみると、サマルカンドは『ソヴィエト式の街の中に昔の遺跡がある』という印象の街だった。


 30分ほどで

に到着。やはりドライバーは駅舎に入れないらしく、チェックポイントでお別れ。切符とパスポートのチェックをクリアして駅舎に近づき、駅舎に入るために荷物のセキュリティチェック。さらに、もう一度切符とパスポートのチェックがあり、切符の裏に何やらスタンプを捺された。駅員の態度はとても友好的ではあった。
 サマルカンドの
もとても清潔で近代的だ。これまでのところ、公共交通機関で酷かったのは空港だけだ。日本人男性の旅行客に話しかけられた。サマルカンドだけを観光し、このまま列車でタシケントに戻ってソウル行きのフライトだそうな。『ブハラ行きのプラットフォームは2番なので線路を渡る必要がありますよ。』と教えられたが、駅員に訊いてみると、ブハラ行きの列車がこのプラットフォームから出るとのことなので、先の男性に駅員に再度確認するよう話したところ、やはりタシケント行きが線路を渡ったプラットフォームから出るとのこと。発車時間がほぼ同じなので、勘違いしているとえらいことになるかもしれず、とても感謝された。
 発車時刻の09:43が近づいたので、09:30過ぎにプラットフォームへ出た。ここから乗る旅客も多いようだ。一昨日も乗ったAfrosiab号が定刻に入ってきた。2号車の係員に切符とパスポートを見せ、座席番号が19番であると教えてもらい乗った。定刻通り09:43に出発、さらばサマルカンド。
 一昨日と同様に乗り心地は快適なのだが、隣に座っている太ったおっさん、しょっちゅう電話で話したり、音楽を聴いているときはイヤホンからの音漏れが酷く、鬱陶しいことこのうえない。今日も平原を走って行く単調な景色。見ていたいのだが眠気には勝てない…
 11:20に
ブハラ駅
に到着。降りた瞬間、酷暑が襲ってきた。サマルカンドよりも暑く、恐らく40℃に近いのではないか。駅の出口で私の名前を出してくれていたドライバーさんと合流、車に乗った。冷房が有り難い。20分ほどで街の中心に入り、ブハラでの宿である "Hotel Marika Bukhara" に到着。真新しいホテルで、なんとHISのツアーデスクの看板まで出ている。チェックインし、ドライバーさんに明後日の予定を確かめる。08:00に、彼の兄弟が来てくれるのだそうな。このホテル、ロビーの内装もなかなかよろしく、中庭もあってお洒落。部屋も広く、バスタブまである。バックパックを街歩き用に軽くして、12時に外出。


 やはり暑過ぎるので、今は昼食と最低限の街の感覚を掴むだけにしておこう。まずは昼食を摂りたいので、LPやTAで評判の高いレストラン

"Minzifa"
へ。マントゥと紅茶を注文。日本人観光客のツアーは個室を予約済みらしい。2階のテラス席から、風に吹かれながらタキ(道路の交差点につくられた、屋根付きのバザール)の
丸天井
を眺める。確か2006年のモロッコ旅行で同じような景色を見た覚えがある。30分ほども待って、ようやくマントゥが来た。肉や野菜の具を詰めた饅頭のようなもので、サワークリームを添えて食べる。肉の旨みと野菜のバランスがほどよく美味しい。5個でちょうど好い量。計25,000スムを支払った。


そのまま、旧市街のランドマークの1つであるラビ・ハウズへ向かう。この通りは昔の建物をリノベーションしてレストランやカフェ、土産物屋にしていて、予想以上に観光地化が進んでいる。ラビ・ハウズは、池の周りに木々が植えられていて、さらにモスクなどが取り囲んでいる。中でも、

鳥と顔のついた太陽を飾ったメドレセ
が有名だ。暑さがピークなのだが、池の傍の木陰の席で暖かい風に吹かれるのは心地好い。池の周りの一角にはカフェ・レストランがあり、欧米風の音楽を流している。水を飲みながらぼーっと一休み。(
) 若い女性に話しかけられた。この近くに住んでいて、医療系の勉強をしているのだそうな。日本語と英語で少し話していると『夕方5時頃からなら一緒に歩けますが…』と誘われた。ちょっと心が動いたが、やはり旅は気ままに一人で過ごしたいので丁重にお断りした。これだからダメなんでしょうね… 14:30まで過ごしたが、風が止んでしまい暑さに耐えられなくなってきたので、ホテルに戻って一休み。


 16時に目を覚まし、再度外出。今回はブハラの最大の見どころの1つであるカラーン・ミナレットを目指す。別の

タキ
を過ぎると、道路が工事中で歩きづらい。どうやら、ブハラは旧市街を大規模に改修している真っ最中らしい。砂埃に吹かれながら何とか別のタキに到着し、右手に行くと、
ウルグベク・メドレセ
アブドゥルアジズ・ハン・メドレセ
が向かい合わせに建っているところに出た。ここも道路工事の真っ最中で、ウルグベク・メドレスに近づくことはできず、アブドゥルアジズ・ハン・メドレセの真下に行った。ウルグベク・メドレセの外装もタイルで飾られているが、これまでに見た建物に比べればとてもシンプルに思われる。どちらも内部は土産物屋になっているらしく、しきりに両替を誘われた。
 タキに戻り、さらに先に行くと、目指すカラーン・ミナレットに着いた。この塔はブハラで最も高い塔で、チンギス・ハーンがブハラの街を破壊した際にも破壊されずに残ったものだそうな。レンガの凹凸で微妙な陰影をつくっていて美しい。広場の反対側にも大きなメドレセ。スケールの大きな美しさだ。(

 8,000スムを支払って、塔に隣接したカラーン・モスクに入った。大きな広場のような中庭になっていて、多くの人々がここで礼拝をおこなったことだろう。この中庭からは、塔とメドレセの門とドームが多層構造のように見えてとても美しい。人も少なく、傾き始めた太陽に照らされた塔・門・ドームを眺めていると感傷的になる。時々聴こえる鳥の鳴き声も情感を盛り上げる。ここでもぼーっと見とれて過ごしてしまう。(


 18時を過ぎたのでモスクを後にする。さて、今日も空腹を覚えない。といって、何も食べないというのも夜に空腹を覚えそうなのだが、この国では(胃に負担をかけない)軽食というものが思いつかない。LPに載っていたカフェに行ってみた。内装もメニューも欧米のそれだ。アップルパイとコーヒーを注文、どちらも東京にあっても遜色ないレベル。計16,000スムを支払った。ちと高い。
 19時になった。日没は19:40なので、せっかくなので夕陽に染まったカラーン・ミナレットを見てみたくなり、戻ってみた。すると、カラーン・ミナレットの赤茶けた色合いになっていた。この時間にしか見られない色だ。酷暑も収まりつつあり、風も心地好い。シルクロードの悠久の感傷とはこうしたものだろう。ここまで来て本当に好かった。(



 19:30に塔を後にし、1.5リットルの水を2,000スムで買ってホテルに戻った。パスポートの登録も無事に終わり、戻ってきた。このホテル、NHK WORLDも映るし、wi-fiも早い。
 明日は終日ブハラを観光。午前中に見どころを回り、午後は木陰やホテルで休んで、夕方はもう一度カラーン・ミナレットを眺めに行こうか。早いもので、この旅も後半に入る。
 …ところで、中庭で『タイタニック』の上映会をやっている…


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