Siracusa

 06:20に起床。今日はシラクーサまで列車で日帰りの小旅行である。シラクーサは古代ギリシア世界でも有数の植民都市で、アルキメデスもここの出身だとか。また、『走れメロス』の舞台ともなった街でもある。08:06発の列車に乗るためには、07:45発のバスに乗る必要があるので、07:00に朝食を摂りにいったが何もなかった。仕方がないので、通り沿いのパン屋でブリオッシュを一つ買った。バスターミナルで駅との往復のバス乗車券をEUR3で買い、バスを待つ。
 07:45近くになってもバスが来ないので、係員に訊いてみると、カターニア空港行きのバスに乗れという! んなことはチケットを買った際にいえっつの。慌てて乗った直後にドアが閉まって出発。危なかった… 10分ほどで駅に到着、そのまま列車が来るのを待つ。海に面した駅で、なかなかに旅情をかきたててくれるよい駅だ。(

) 定刻通りに列車が来た。編成全てが二等車なので何処に座ってもよい。海側の席にしようかと思ったが、そちらの窓はすべて落書きで埋め尽くされ何も見えないので、山側に座った。
 エトナ山を右手に見ながら車窓の風景が過ぎていく。街もあり、畑や草原もあり。畑の中にぽつんと崩れかかった建物がみえるのは、何かの映画でみた光景のようで印象的。寂れた街が多いのか、建物も古く、落書きが多い。カターニアの中央駅周辺の建物も落書きだらけだった。


 約2時間ほどでシラクーサの駅に到着。シラクーサのほうが蒸し暑いような気がする。まずはネアポリス考古学公園へ行くために歩き始めた。街の標識と Google Map のおかげでさほど迷わずに済んだが、さすがに20分も歩くと汗だくである。Ticket Office の標識にしたがってチケット売り場へいき、EUR15を支払って購入。やたら高いような気がした。ところがこの周囲に入り口がない。係員に訊いてみると、入り口は通りを挟んだ反対側らしい。何でわざわざこんな不便なつくりにしたのか、と思ったら、そちらにもちゃんとチケット売り場があった。無駄足を踏まされた…と思ったが、こちらのチケット売り場は大行列なので、待たずに買えた分だけ得だったかもしれない。あるいは、もしかすると別の博物館のチケットを買ってしまったのかもしれない。考えてもわからないのでとりあえず公園の入り口に行きチケットを見せたところ、すんなりと入れてくれたうえに、そちらの博物館で開催中のイベントのことまで教えてくれた。どうやらセットのチケットを買ってしまったらしい。時間の制約があるので博物館には行けないので、少しムダ金を払ってしまった。
 この公園の中心は古代ギリシア時代の劇場の遺跡である。タオルミーナにあるものよりも古いらしい。同じ半円形のすり鉢型劇場だが、こちらのほうが広さも高さもある。白い石造りなので、陽射しを反射して眩しい。客席に座ってしばし休憩。もう一つの中心は、ローマ時代の劇場跡である。こちらは楕円形をしている。時代は移っても観劇の人気は高かった、ということか。(


 これで考古学公園の観光を手じまいとすることにして、もう一つの観光ポイントであるオルテジア島へ行くことにする。ただ、約4kmを歩く気にはなれないので、一日周遊観光バスを使うことにした。5分ほどで来てくれたので乗る。EUR5といささか高いが仕方がない。ところが、街中の渋滞が酷くなかなか進んでくれない。結局、目的地のオルテジア島の
アルキメデス公園
まで45分もかかってしまった。アルキメデスの像をいただいた噴水がある公園…というか、ただのロータリー式交差点のようにしか思えないが。ここから再び歩き出す。


 5分ほど歩くと、シラクーサ最大の観光ポイントであるドゥオモ広場に出た。大聖堂を中心とした、白い石造りが美しい広場だ。大聖堂の正面の装飾も壮麗だ。この大聖堂に正対してオープンカフェがあるので、ここでパニーニとエスプレッソで昼食を摂ることにした。パニーニといいつつ出てきたのはパンケーキかと思うような代物だったが、チーズ・ナス・トマト等の具を挟んだもので悪くはない。大聖堂を眺めながらの食事は得難い経験で、EUR10は場所代込みと思えば納得できる。(


 大聖堂の中に入ってみる。そういえばカトリックの祭壇を観光するのも久し振りだ。天井の世界を描く絵を眺めてみると、そのまま天に召されるような気がしないでもない。大聖堂を出て、島の先端部のほうへ歩いた。10分ほどで先端にある要塞のような建物に着いたが、closed といわれてしまい、中に入ることはできなかった。


 再び島の中心部に戻ることにした。旧市街が保存されているとかで、気が向く方向に歩き始める。いかにも好みの狭い路地があちこちにあって、歩いていて楽しい。…暑いけど。(

) あちこち歩いているうちに、さすがに暑さに参りかけてきたので、ちょうど近くにあった洒落たカフェに入ることにした。コカコーラ・ゼロとベリーのタルトを注文し、味わいながら涼む。汗が引いてきて、疲れも除れてきた。なぜか犬を連れている客が何組かいるが、誰も気にしていない。
 15:00に店を出た。復路の列車の出発時間は17:14, 駅には16:30には着いておきたい。駅まで30分くらい歩くことを考えると、ここにいられるのもあと1時間である。最後はドゥオモ広場で過ごすことにした。広場を囲む建物の入り口にある階段に座って大聖堂を眺める。昨年はブハラでこうしながら日暮れを過ごしたっけ。何処に行ってもやることは変わらない。曇ってきてしまったので、明るい陽射しに照らされた大聖堂を見ることが出来ないのはやや残念。(


 16:10になったので、広場を後にし、駅へ向かった。先ほどのバスで手に入れた地図がわかりやすくてちょうどよい。目印にしていたアポロ神殿跡に上手く出られた。ここから橋を渡ると、コルソ・ウンベルト通りである。これをまっすぐ行くと、駅から考古学公園に向かう際に通った交差点に出るので、それを逆に辿れば駅に着ける。予定通り、16:30に駅に着いた。時刻表を見ると、特に遅れは出ていない。駅にあるカフェで少々時間をつぶすことにした。カフェといっても、パンもビールもあるし、ロト宝くじや雑貨、果てはスロットマシンまである。街からも入れるようになっていたりする。少々猥雑な感じがするのがよい。コカコーラ・ゼロがEUR1.5だったのでそれを買い、50セント硬貨を入手した。そして、17:00に、乗車前に用を足しておくために、トイレチップとしてその50セント硬貨を使った。
 3番線にはもう3両編成の列車が停まっている。駅員に訊いたところこの車輛とのことなので乗車した。今回は真新しい車両で、落書きもなく、椅子の座り心地もよい。トイレまである。17:14に出発、さらばシラクーサ。往路よりも停車駅が多いうえに、他の編成の待ち合わせで長時間停まることもあり、遅れているのではないかと思ったが、カターニア中央駅でプラットフォームの表示を見ると特に遅れているとの表記はなかったので、これで定刻通りの運行らしい。
 19:18にタオルミーナの駅に到着。駅を出たところに停留所があり、すぐにバスターミナル行きのバスが来たが、このバスが満員で座ることもできない。あの九十九折りを何処かに掴まらずに立っていたのでは確実に死ぬので、頭上棚の縁をしっかりと掴みながらカーブに耐える。10分ほどでバスターミナルに到着、シラクーサまでの往復を無事に終えることが出来た。


 さて、夕食時でもありいささか空腹ではあるが、開店してしばらくたったこの時間帯では好さそうなレストランに入るのは難しいだろう。昨日の昼食のピザを買ったパン屋が開いていたので、生ハム・チーズ・オリーブ・キノコをつかったピザ一切れをEUR2で購入。そのままホテルに戻ろうと思ったが、夕刻の4月9日広場から海とエトナ山を観たくなり、ウンベルト一世通りを歩く。夜に向かって皆いっそう楽しそうだ。4月9日広場から海を眺めるが、日没は海ではなくエトナ山の方角らしく、夕陽に染まる海というわけにはいかなかったが、彩雲とエトナ山のコントラストは好かった。20:10にホテルに戻り、買ってきたピザを食べた。期待以上に美味しかった。


 明日はタオルミーナ滞在の最終日で、夜のフライトでマルタに向かう。


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