Toledo

 07:00起床。本来ならもう30分ほど長く眠っていたかったのだが、目が覚めてしまうので仕方ない。こういうこと一つとっても「老い」なのだろう。身支度を整えて08:00にチェックアウト。今日は、09:20発の列車でトレドに行く予定である。トレドはイベリア半島がイスラーム勢力下にあった頃からの古い街並みが残っているところだ。マドリードから30分ほどなので日帰りの観光客が多いらしいが、あえてここに2泊して街をぶらぶらするとともに、近郊の風車のある街にも行ってみよう、という計画である。
 ホテルからプエルタ・デル・アトーチャ駅までは徒歩5分ほどなのであっという間に着いてしまう。発車まであと1時間あるので、コーヒースタンドでクロワッサンのサンドイッチ・エスプレッソ・オレンジジュースのセットで朝食を摂る。EUR5.5だが意外に美味しい。さてこの駅、トイレが1ヶ所しか見当たらず、しかもEUR0.6かかるのは困ったものだ。9時過ぎにプラットフォーム番号が掲示されたのでDepartureへ。手荷物検査を通してプラットフォームへ行くと既に列車が停まっていた。指定座席に座って発車を待つ。予定通り09:20に発車。運行もスムーズで、30分ほどでトレド駅に着いた。
 トレド駅から旧市街までは歩いていくことにした。まださほど暑さを感じない。Google Mapを見ながら道を行き、旧市街に入るための門を潜る。さて、旧市街は丘の上なので、ここからは坂や階段を昇らねばならない…のだが、この近くにエスカレーターがあると聞いていたので、看板の示す方角へ。少し坂道を登ったところにエスカレーターがあった。やはり文明とはいいものだ。エスカレーターを降りたところから少し行くと、旧市街の中心地である

ソコトベール広場
に出た。まずはホテルに入って荷物を置くつもりで、ホテル近くの大聖堂の方角を訊ね、教えてもらった方向に行ったつもりだったのが、見事に見当外れのところに出た。イスラームの旧市街のわかりづらさは侮れない。四苦八苦しながらようやく大聖堂近くに出て、予約した "Hotel Santa Isabel" を見つけることが出来た。結局、駅からここまで1時間もかかってしまった… まだチェックイン出来ないとのことなので、街歩きに際して背負うためのナップザック以外をフロントに預けて外出。


 まずは

大聖堂
を起点にメインの通りなどを把握したい。観光客向けの店が並んでいる通りを見つけたのでそれに沿って歩くとソコトベール広場に戻った。この通りがメインストリートだろう。団体の観光客も増えてきている。この通りを戻り、さらに大聖堂を過ぎると、サント・トメ教会の周辺に出た。ここも観光客向けの店が並んでいる。
 26年前、大学の卒業旅行でトレドを訪れたことがある。もっとも、この時はフルアテンドのツアー形式で、トレドでも半日間でいくつかの観光ポイントに連れていかれただけだったのだが、それでもこんなに賑やかできれいな街ではなかったような記憶がある。まぁ26年も経てば何もかも変わるものだろうて。
 12時を過ぎて、徐々に陽射しも強く、暑くなってきた。日除けと休憩を兼ねて、この近くの「サン・フアン・デ・ロス・レイエス教会」に入る。EUR3を支払った。この建物は中庭を設えた回廊式になっていて、中庭の木にはオレンジが生っている。1階はキリスト教形式なのだが、2階の回廊の天井はイスラーム式の幾何学模様の装飾というのも面白い。(
) 次いで、この近くにある「サンタ・マリア・デ・ブランカ教会」へ。白いアーチが内部に並んでいるのだが、こちらはちと面白みに欠けるような気がした。


 13時を過ぎたので昼食を摂るべく、LPなどで目を付けていた "La Abadia" へ。ランチタイムに入ったばかりというのに既に混雑しているが、一人ならば何とか席を確保することが出来た。トレドの名物料理3品のセットというものを注文した。最初の品は、小さなコロッケ・サラダ・パテの小皿のセット、サラダが特に美味しい。トマトかと思ったが少し違う。2品目は、米料理(リゾットのようなもの)と、白いソースをかけまわした牛肉のロースト。こちらも美味しい。ラストはチョコレートのムースのようなデザート。EUR22と少し高かったが、味も量も適切で十分に満足した。


 14:30を過ぎ、いよいよ暑くなってきた。アプリによれば37℃だそうな。この時間に大聖堂を訪れることにするが、チケットの売店には長蛇の列。それでも意外にスムーズにチケットを買うことが出来た。大聖堂というのは何処でもそうだが、ここトレドのものもそのスケールに圧倒される。高さ25メートルという中央の祭壇や、その向かいにあるパイプオルガンを設えた聖歌隊の席なども素晴らしい迫力だ。祭壇の裏側はバロック形式の彫刻で飾られており、差し込む光とも相俟って効果的だ。エル・グレコの絵なども展示されており、久しぶりのキリスト教芸術を楽しみつつ、日陰の椅子で少し休んだ。(



 15:30を過ぎたがさらに暑くなっている。明日のバスの移動に備えてバスターミナルを把握するつもりで街の北側に向かった。観光ルートから少し外れると店も人通りも少なくなる。暑さと相俟っての気だるげな雰囲気がとても好い。迷路のような道筋と激しい高低差が街並みに変化を与えていて、見ていて飽きない。北側の門から

街の外
に出てみたが、ここからバスターミナルは意外に遠い。駅からの通りを戻るように歩いていくと、近代的なバスターミナルを見つけることが出来た。ここからなら、むしろエスカレーターで降りたほうがスムーズに来れるのでは?と考え、朝に歩いた方角に向かってみるとすぐにエスカレーターを見つけることが出来た。これで明日の朝の移動も問題なかろう。ほどなくソコトベール広場に戻った。
 この近くにあるアルカサルは、日曜日は入場無料らしい。17時までということなので急いで向かった。入ってみると、軍事博物館として使われているらしく、スペインの軍事に関する展示がたくさんあるのだが、はっきりいって興味が湧かない。ぎりぎりまで涼みつつ、トイレも使わせていただいて外に出た。無料だったのがせめてもの救いだ…


 17時を過ぎてもまだまだ陽が高く、暑い。木陰のベンチなので休みながら散歩する。(

) 昼食をしっかり摂ったせいか腹も減らない。レストランなどが夕食を出し始めるのは20時過ぎなので、この時間帯はそもそもあまり食べるものがない。自分の旅のリズムとずれているので少し困る。結局、昨日と同じ生ハムサンドイッチと水のセットをEUR4.5で買い、夕食としてしまった。夕食を早めに出してくれるいい店が見つかるといいのだけど。19:30にホテルに戻った。
 明日は、風車で有名なコンスエグラという街にバスで日帰りし、夕刻はトレドを散策する予定だ。

Next Page

Return to Index