昨夜は23時に眠り、最初に目が覚めたのが5時というのは近頃にない長い眠りだった。一ヶ月くらい旅をすれば早朝覚醒から解放されるかもしれない。そのまま7時までうつらうつらする。07:30に朝食、今回の旅では最後のホテルでの朝食だ。08:15に観光を開始。
今日はこの旅で観光できる最後の日となる。そして、今回の旅の最大の目的であるアルハンブラ宮殿を訪れる。最大の見どころであるナスル宮殿に10時に入れるチケットを購入済みだ。入場に際して求められることがあるとのことなので、今日はパスポートを持って出た。気温は20℃、むしろ肌寒さすら覚える。ヌエバ広場からなかなかにきつい坂道を登り、20分ほどで
についた。まだ1時間以上あるので、まずはアルカサバへ。ここでチケットを見せるよう求められる。近頃は何でも二次元バーコードだ。アルカサバは9世紀に造られた砦の跡とのことで、武骨な遺跡という印象。高所なのでグラナダの街をよく見渡せる。(・・・) 続いてカルロス5世宮殿へ。なぜかが立ち並んでいる。1階には美術品を展示するところがあり、昔の貨幣や装飾などを展示している。外に出ると09:30近くで、観光客も増えてきた。ナスル宮殿に入るための待ち行列に加わる。10:00に入場を開始、やはりパスポートの提示を求められた。(スマートフォンで撮影したものでもいいらしいが。)
ナスル宮殿はイスラーム支配時代の王宮で、イスラーム美術の傑作といわれている。私が知っている中で最も訪れたかったところの一つだ。最初に入るのは「メスアールの間」。行政と司法を執り行っていたところらしい。次いで現れるのが有名な「アラヤネスの中庭」。中央に池を配し、対面にある塔を水鏡のように映し出す美しさが見事だ。建物の壁という壁にはアラビア文字や幾何学模様が描かれ、その美しさには感嘆するしかない。(
・) 塔の中にあるのは「大使の間」。透かし彫りをびっしりと施した壁と窓から入ってくる光の織り成す美しさにただただ圧倒される。(・)
その次は「ライオンの中庭」。十字に水路を配し、中央に12頭のライオンを設えた水盤が置かれている。水の流れる音も涼しげだ。中庭を囲む周囲の建物には124本もの大理石の柱が配されているのだそうな。そのアーチがまた見事である。(・・) 中庭の隣にあるは、天井近くの鍾乳石のような造詣が美しい。イランやウズベキスタンでも出逢ったあの造形美だ。その横には「諸王の間」があり、イスラーム王朝時代のが描かれている。イスラーム芸術で人物像を描くとは本当に珍しいことだ。その横にある「二姉妹の間」も鍾乳石のような造詣が美しい部屋だ。ヨーロッパにいるということを忘れてしまいそうになるほどにイスラーム芸術の極致に浸ることが出来る。ここまで来た甲斐があった。(・)
時刻は11:30近く、気温も30℃を超えて暑くなってきた。最後の見どころである「ヘネラリフェ」に向かった。ヘネラリフェは夏の別荘として建てられたらしいが、徒歩15分で別荘も何もないと思わぬでもない。さすがに観光客でごった返していて、チケットのチェックにやや時間がかかった。そのうえ、建物自体が狭いものなので、なかなかゆっくりと見ることもできない。見どころは水路と噴水を配した中庭だろうか。イラン・シーラーズでも似た様式の庭を見た覚えがある。一通りの観光を終えた時には既に12:30を過ぎていた。アルハンブラ宮殿の見学に時間を割く旅程を組んでおいて好かった。(・・)
ヌエバ広場に戻り、近くの
で昼食を摂ることにした。テーブル席だけでなく立ち飲みのカウンターもあり、ネクタイをつけた店員たちがきびきびと立ち回っている。カウンターに着いてメニューを眺め、タパスで生ハムとスペイン風オムレツ、それに炭酸水を注文。飲み物には小皿料理が一つつくらしく、牛肉の煮込みが出た。さらにパンも一つだしてくれた。どれも美味しく十分に満足、EUR8.6を支払った。
これで観光の予定は一通り終わったので、あとはアルバイシンなどを夕刻までぶらぶらすることにした。土産物店をのぞいてみる。グラナダの名産品は寄せ木細工らしいが、あまり欲しいとも思えなかった。あとはトルコ名物だったはずのランプや飾り物、タイルなど。冷やかすだけになってしまった。
グラナダで創作されたというピノノスというお菓子を売っていたので一つ試してみた。スポンジケーキの上に卵黄のクリームを乗せて焦がしたものだそうな。小さなものでEUR1.5ほどだが、これも甘い。アンダルシアのお菓子はどれもかなり甘い。
14時を過ぎ、暑さが厳しくなってきた。いったんホテルに戻って一休みすることにした。レセプション前の中庭に椅子があり、レモン水も飲めるようになっている。この椅子に座って小一時間ほどうたた寝した。いい気分だ。
15:30に再び外出。ついでに部屋にパスポートを置いておいた。アルバイシンをぶらぶらしながら登っていく。昨日も訪れたサン・ニコラス展望台からアルハンブラ宮殿を眺めた。いつかまたここに来たいものだなぁ… 隣で男性の二人組がフラメンコギターを演奏しながら唄っていて、アルハンブラ宮殿の眺望に情感を添えてくれた。(
・・・・・・)
アルバイシンを降りていく。こういう立体的に入り組んだ路地は大好きだ。…暑くなければもっと好いのだが。ふらふら歩いていくと、昨日訪れた ”Kasbah” のある通りに出た。ここはアラブ系の住民が集まっているらしく、商品がもはやアラブの市場のそれだ。スパイスの香りも漂う。エスファハーンやエルサレムの市場を思い出した。ただ、ここではアザーンは聴こえない。
18時に近くなり、そろそろ夕食を摂って観光を手仕舞いする頃合いだ。タパスも魅力的だったのだが、昨夜食べた ”Kasbah" の野菜のクスクスに決めた。野菜のクスクスにチョコレートケーキ、コーヒーを注文。野菜の甘味が美味しい。クスクスの食感も好い。チョコレートケーキは、他の伝統的なお菓子に比べればむしろ程よい甘さだった。周囲の客は水煙草を吹かしていて、その香りが刺激的だ。EUR12.4を支払った。18:40にホテルに戻った。これで今回の旅の観光はおしまい。
明日は、グラナダ空港07:00発のIB8595でマドリードに戻り、マドリード空港で約5時間待った後にIB6801で成田に戻る帰国の途となる。ホテルに依頼し、空港までのタクシーが05:00に来る予定だ。これも毎年書いているが、旅行の一週間はなぜかくも早く過ぎるのだろうか。
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