Roma

 昨夜は23:30頃にベッドに入ったが、時差ボケもありあまり眠れなかった。旅の初日には仕方ないことだ。7時過ぎに起床し、身支度を整えて8時に外出。朝の空気は爽やかだが、午後から暑くなる予報だ。近くの "Caffè Fondi" でカプチーノとクロワッサンの朝食。シンプルだが美味しい。他にも早朝から営業しているカフェがあるので朝食に困ることはなさそうだ。
 テルミニ駅で公共交通機関の72時間有効券を22ユーロで買った。クレカのタッチ決済で都度乗れるのだが、昔から訪れた街の切符を集めている習慣のためだ。地下鉄A線でSpagna駅へ向かい、有名なスペイン広場の階段へ。優美で素敵な階段だ。朝イチなのに観光客が多い。(

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 トレビの泉に向かう。この辺りは何処を見ても絵になる美しいエリアだ。途中のATMで50ユーロを引き出す。あまり現金を使う機会はないかも知れないが。10分ほどでトレビの泉に着いた。早くも観光客で大混雑しているが、それも納得できる美しさだ。それほど大きくはないが水音がダイナミックで、彫刻も素晴らしい。こんなに華やかで素敵なところだとは思わなかった。(
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 コロッセオに向かう。バスよりも地下鉄のほうが確実に思えたので、地下鉄A線のBarberini駅からテルミニ駅でB線に乗り換えてColosseo駅へ。駅を出るといきなり目の前に

コロッセオ
! まずは隣のフォロ・ロマーノに入ろうとしたが、既に長蛇の列ができている。日差しも暑くなってきた。入場時にパスポートのチェックがあったが、そのように聞いていたので持参していてよかった。10:30に入場できた。
 フォロ・ロマーノとパランティーノの丘は古代ローマの遺跡…というくらいの知識しかないが、入ってすぐにみえる凱旋門をはじめ、建物や柱、彫刻などの残骸がこれほどに大きなスケールの美しさを見せてくれるとは思いもしなかった。かつてここではどんな毎日が営まれていたのだろうか、想像しながら歩くのも楽しい。予想以上に広く、なかなか端に辿りつかない。観光客もどんどん増えてくるが、まだまだ余裕がある。ただ、暑さも厳しくなり、日陰に多くの人が集まっている。パラティーノの丘の上にも広大な遺跡があり、とても追いきれない。最後に展望台からフォロ・ロマーノの全景を楽しんで、12:20に出た。(
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 昼食を摂る頃合いだが、お店がある街並みは丘の上らしいので、手っ取り早く駅構内のスタンドでハムのピザ一切れとオレンジのグラニータを買って立ち食いである。11ユーロを支払った。ピザは作り置きのまぁ普通のものだがサイズが大きいので昼食には十分だった。オレンジのグラニータが冷え冷えで、体を冷やしてくれるような気がした。駅から観光客がどんどん出て行く。
 13時過ぎにコロッセオ横のunderground tourとあるポイントから入場した。内部のmeeting pointで地下ツアーの開始を待つ。気温は34℃、日陰にいても熱風が吹きつけてくる。13:45にツアーが始まった。昔、剣闘士らが待機していた地下を歩いていく。ここにいた剣闘士達はどのような心境だったのだろうか。得難い体験で、よくぞチケットを買えたものである。30分ほどでアリーナに出てツアーは終了。ここで闘いが繰り広げられたのだ。周囲の観客席が少し怖く思えたが、暑さのピークでそんな感情もかき消されてしまった。
 2階席にあがり、今度は観客の目線でアリーナや地下通路、周囲を見渡す。今のスタジアムの原形はここなのだなぁ、と思わされた。フォロ・ロマーノとあわせて、こんなすごいものを遺した古代ローマのすごさを感じられたような気がした。暑さのせいか、右の脹脛が少し攣ったような感覚を覚えたので日陰で休んだ。15時近くになりコロッセオを出ようとしたが、出口への進路も複雑でなかなか出させてくれなかった。(
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 17時のサン・ピエトロ大聖堂の観光に先立ってヴァチカンへ向かうことにした。コロッセオ駅から地下鉄でテルミニ駅へ戻り、A線に乗り換えた。ところがなかなか発車しない。具合が悪いといった人が見つからず探しているのだとか。10分ほどで発車し、15:45にOctaviano駅に着いた。ここからヴァチカンまで歩行者天国の広い通りになっている。"Ponpi" という店でティラミスと水を買って休憩した。ティラミスはよく冷えていて美味しかった。
 16:30と予約した時刻よりも早いが、予約チケットのレーンからヴァチカンに入れてしまった。そのままサン・ピエトロ大聖堂の観光を始める。まずは Glotto という歴代の教皇や成人の墓碑などがあるところを通る。生前の姿を彫刻にした墓碑も多く少し怖い。これを過ぎるともう大聖堂の中だった。あちこちのカトリックや正教会を見てきたが、ここほどに神の美しさと威厳を表現し尽くしているところはないだろう。様々な彫刻・絵画・装飾が隙間なく配され、神の国を地上に現さんとするかのようだ。中でも、

ミケランジェロのピエタ
は圧巻だった。人間の手になるものではなく、神の御業になるものとしか思えなかった。魂が吸い寄せられるような気がした。(
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 今日はミサがあるらしく、あちこちに椅子が並べられていて、主祭壇に近づくこともできない。17時にミサが始まった。パイプオルガンと讃美歌が流れ、自然に頭が下がる。18時まで続くとのことなので、大聖堂の中のあちこちを歩き回った。この美しさにどれほどの才能と労力と資源が注ぎ込まれたことだろう。それらを別の方向に使えば、もう少しマシな歴史と現代世界になっていたのでは…と思わぬでもないが、そうできないのが人間なのかもしれない。18時にミサが終わり、人々が退出し、別の人々が入り始めた。係員のほうをみると頷いてくれたので主祭壇に近づいて写真を撮った。と、またパイプオルガンが響き始めた! また別のミサが始まるようで、参加者と思われたらしい。そんな資格はないのでお詫びしながらその場を離れた。週末のためか、ミサが立て続けにあるらしい。主祭壇に近づくことは諦めて大聖堂を後にした。
サン・ピエトロ広場
にもたくさんの椅子が並べられている。大きなイベントがあるのだろうか。


 夕食をテルミニ駅構内のフードコートで摂ることにして、地下鉄でテルミニ駅に戻った。このフードコートにはピザにパスタ、グリルの盛り合わせ、寿司に中華にサラダと豊富な種類がある。ローマの名物料理であるカルボナーラとスプライトのセットを選び、12ユーロを支払った。カルボナーラは、筒状のパスタが使われていて、チーズが惜しげもなくかけられており風味豊か。ベーコンではなく塩漬け肉が使われていていささかしょっぱいがなかなか美味しい。量も多く、なんとか完食したがちと苦しい。
 明朝のボルゲーゼ美術館に行くための92番バスの停留所を見に行った。テルミニ駅とはいえホテルからは少し距離があり、乗り損なったり遅れがあったりすると致命傷になりそうだ。ボルゲーゼ美術館の入場は時間に厳しく、指定された9時の30分前には着いていたほうがいいらしい。歩いてもバスを使っても約30分とほぼ同じだし、朝の散歩と考えたほうがよさそうだ。そのためにも、今夜は足を休めておかなければならない。
 今日一日で古代ローマとカトリックの総本山の魅力を楽しむことができた。明日と明後日は美術の精髄を味わう。


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