昨夜は23時にベッドに入った。夜通し雷が鳴っていたようだ。7時に起床、雷雨が降り続いている。外出する気もなくなるが、午前中にサンマルコ寺院とドゥカーレ宮殿のチケットを買ってあるので行かなければならない。8時に朝食、品数が少なく、クロワッサン・ハム・チーズ・バナナ・ヨーグルト・カプチーノを摂った。雨がますます激しくなっているので、ポンチョを羽織って外に出た。
まずは09:30に入場するチケットを購入済みのサンマルコ寺院に行くために、ヴァポレットに乗った。船上から見る街並みもよいが、雷雨なので写真も撮りづらい。(
・・) 10分ほどでの停留所に着いた。有名なリアルト橋だが今はそれどころではない。さらに15分歩き、9時頃にサンマルコ広場に着いた。ヴァポレットを使ってもあまり意味はなかったような気もする。もはや豪雨で、水が足首まで溜まっていて、靴も靴下もずぶ濡れだ。サンマルコ広場の前には大きく深いができている。バックパックを預けるためのクロークを探したが工事中で見当たらない! 警官に訊いてもわからないという。バックパックのせいで入場を断られるかもしれず、かなり焦った。雷雨も激しさを増し、この時は気が滅入っていた。
09:30過ぎに入場が始まった。何食わぬ顔してチケットをスキャンして入場したが特に何も言われなかった。とりあえず一安心して寺院の中に入った。内部は金のモザイクで一面に装飾されていて、照明が当たるところは眩いばかりの輝きを放つ。写真を撮っても問題ないようだ。何となく、正教会のつくりに近いような気もする。パラドゥーロという、エメラルド・サファイア・真珠などの宝石をふんだんに使った祭壇画も絢爛の一言。ここにもどれだけの富が使われたのやら。(・) 博物館のチケットもセットで買ったので2階へ上がった。ここにもモザイク画などが展示されているが、1階から見上げていた金色のモザイクをより近くで見られることが何より素晴らしい。(・・・・・・・)
さらに、テラスへと出ることも出来る。ここからサンマルコ広場を見下ろす景色は心地よいものだった。雨はすっかり止んで、晴れ間も出ている。さっきの大雨が嘘のようだ。10:45にサンマルコ寺院を出た。(・・)
次は、11:30からのドゥカーレ宮殿シークレットツアーのチケットを買ってある。サンマルコ寺院の隣にある宮殿に行ってみるとそのまま入場できた。中のミーティングポイントで開始を待つらしい。クロークにバックパックを預けて開始を待つ。
11:30にシークレットツアーが始まった。これはドゥカーレ宮殿の「闇の部分」を見せるというもので、係員が英語でいろいろ説明してくれる。まずは当時使われていた牢獄の区画を通った。暗くて狭くてジメジメして苦しいところ、というのは万国共通だ。(
・) 続いて総督の。意外にも狭い部屋だ。その上には文書などの。この辺りのつくりは船の内装に似ている。その次に。拷問器具が一つしかないが、もっとあったのでは?と勘繰ってしまう。その後に、ここから脱獄したカサノヴァが収監されていた部屋を見せられた。ただ、カサノヴァのことをほとんど知らないのでピンとこない。最後に、何故か瀟洒なつくりのに出た。約1時間で、ヴェネツィアの繁栄の「裏の顔」を垣間見たというわけだ。
ここからはドゥカーレ宮殿の「表の顔」を観光する。まずはと呼ばれる鮮やかな装飾を施した階段があった。その先には、先ほどとは全く異なる豪華な内装の部屋が次々に現れる。外交などにも使われたらしい。中でも大広間のスケールには圧倒される。ミケランジェロやラファエロなどこれまで見てきた神業とは異なる、富の力で作り上げた美という印象を受けた。(・・・) この宮殿は、壁一枚挟んで全く異なる面があるのが印象的だ。あるいは人間そのものかもしれないな、などと思った。それにしても、牢獄はともかく権力を持っているはずの総督も裏の狭い部屋をあてがわれているとは、表側を使った当時のヴェネツィアの真の権力者は誰だったのだろうか?
さすがに観光疲れしてきたが、まだまだ先があった。武器庫を通ったが、もう関心を持てなかった。さらにまたも牢獄エリア。これを延々と過ぎると、いつのまにか有名なを通っていた。ここを通る囚人がため息を漏らすことが由来らしい。
ようやくという感じで観光ルートは終了、ちょうどカフェがあったので、カサノヴァというチーズ・トマト・バジルのサンドイッチとカプチーノで昼食を摂ることにした。サンドイッチは柔らかいパンなのが嬉しく、そこそこに美味しかった。12ユーロを支払った。
外に出るとよい天気、観光客も多い。サンマルコ寺院やドゥカーレ宮殿、「ため息の橋」の外観を眺める。(・・) 美しいが何となくメルヘンチックで、現実感に乏しいようにも思える。朝の大雨もあって疲れを覚えた。チケットを買ってあるコンサートは21時開始なので、いったんホテルに戻って休むことにした。リアルト橋の停留所に行くと既に多くの人がヴァポレットを待っている。最初に来た船には乗ることが出来ず、さらに10分待たされた。次の船には何とか乗れたが、山手線のような混雑だ。あまりヴァポレットを当てにしてはいけないようだ。10分ほどで最寄りの停留所に着き、15:45にホテルに戻った。ここまでの日記を書いておいて、少し眠る。17時過ぎに目が覚めたが、まだ部屋でダラダラする。靴がなかなか乾かないので、ドライヤーを当ててみたらかなりマシになった。
21時からのコンサートでは、ヴィヴァルディの「四季」などが演奏される。ヴェネツィアで「四季」を聴くのも得難い経験だろうと思い、終演が22:30頃になることに躊躇しつつチケットを買った。18:30にホテルを出て、コンサートで行われるサン・ヴィダル教会へ、Googleマップの指示に従って歩いた。ところが、15分も歩いたところでゴンドラを使うことになっていた! 近くに運河を渡れる橋もなく、このルートはダメだ。(
・・・)
いったん15分かけてリアルト橋へ戻り、そこから改めてサン・ヴィダル教会を目指す。15分ほどで着いたが、細い曲がりくねった道筋なので、このルートを終演後に戻れる自信が持てない。近くの停留所から20分ごとにホテル近くの停留所まで戻れるヴァポレットがあるので、それで戻ることにしようか… 停留所の近くにちょうどサンドイッチを売っているバーがあったのでエスプレッソとともに夕食とした。9.5ユーロを支払った。アカデミア橋からの夕景も美しい。運河のせいで歩くにはやや不便ではあるが、美しい風景に出会える街歩きが楽しめる。(・・)
20:20にに入場、特に座席指定もないので適当に座る。教会なのでエアコンもなく少し暑い。客が続々と入っていて、ほぼ満席になりそうだ。安心ではあるが、ヴァポレットに乗れるか不安でもある。トイレにいち早く行っておいたら、男女兼用のひとつしかないのですぐに長い行列が出来ていた。これまでのところ、イタリアのトイレ事情はよくないと言わざるを得ない。
21時に、管弦楽器8名で演奏が始まった。さすがに録画は出来なさそうなので諦める。まずはあまりにも有名な「春」。生命や希望の芽吹きを感じられる旋律が流れる。素人の耳には乱れのない素晴らしい演奏に聞こえた。これだけで聴いてよかった、と思えた。「夏」は一転して不安を掻き立てるような旋律。まぁ昨今の夏は命にかかわる暑さだし… 「秋」はまた喜びにわくような明るい旋律。「冬」も意外に落ち着くような旋律で、これも何度か聴いたことがあるように思う。45分ほどで「四季」の演奏が終わり、演者たちが退場した。素晴らしい体験だった。
この後にも2曲ほど予定されているが、ここでドアが開いていて帰る人もいたので、やや後ろ髪をひかれる思いをしつつ帰ることにした。まだ人通りも多く、安心して歩けそうだ。Googleマップの指示も今回はわかりやすく、リアルト橋そばの大通りに出ることができた。周囲の景色を眺める余裕も生まれてきた。通り沿いの小さな運河が夜の灯に照らされている景色は幻想的で美しい。22時を回るとリストランテは閉店の時間のようだ。それでもバーなどが営業している。夜の散歩を楽しみながら、22:20にホテルに戻った。(・・・・・・)
これで、今夏の旅程で事前にチケットを買った観光は終了である。残り2日間はヴェネツィアを散策する。
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